会社で写真を用いることのメリット・注意点(6)

前回は、化粧品の広告には薬機法の規制が、医療サービスの広告には医療法の規制がかかるというお話をしました。
今回は、化粧品や医療サービスでない商品の広告にかかる一般規制についてついてお話します。

 

景品表示法は、消費者が正常な商品選択が出来るように、実際の商品の内容よりも著しく優良であるかのように表示をした広告を禁止しています(それを「優良誤認表示」といいます)。

 

優良ということをあからさまにアピールしていなくても、「表示から受ける印象や認識と、実際の商品の効果などがかけ離れている広告」は、この規制にひっかかってしまう可能性があります。

 

前回に引き続き、商品を使用した前と後の状態を写真で示すビフォー・アフター広告を例に、景品表示法の規制がかかる可能性の高い広告、低い広告を考えてみましょう。

 

たとえば、「加工をした写真は使わないほうがいい」と言われます。実際の商品では出せないような効果を印象づけてしまうほどアフター写真を加工したり、効果を実際より際立たせるために、ビフォー写真を劣ったイメージに加工したりすると、規制にかかる可能性が高いです。
もっとも、ビフォー・アフターの写真両方に写っている細部を、双方とも同じ様に微修正するというのならば、セーフである可能性が高いです。

 

また、「特異な効果が出た写真は使わず、再現性の高い事例をもとにビフォー・アフター写真を掲載するとよい」とも言われます。平均値を超えて特異な効果が出た写真を使うと、限度を超えた誇張と判断されやすいのに対して、どの事例でも再現できるくらいの効果を写真で表現するのであれば、誇張が無いと判断されやすいからです。

 

ただ、これは、写真だけが並んでいる場面を想定した話です。写真に写った効果を文章などで解説すると、また事情は複雑になりますので、注意が必要です。

 

物好き弁護士のつぶやき

最近は広告規制をご紹介していますが、法律家の私でも、広告規制には、やや不思議とも思える厳しさと、反対に緩さを感じることがあります。今回のお話に、「どの事例でも再現できるくらいの効果」なんて相当限られているじゃないか、と思った方もいらっしゃるかと思います。
次回も、そのような厳しさと、反対に緩さを一緒に感じて頂けるよう、草案中です。(2021年10月11日 文責:原田大士)