債権回収編 【担保2】

今回は、建設業のうち、注文者に対して担保を要求する場面、担保の取り方を取り扱います。

建設請負は、多額の費用がかかるため、担保を取る必要性は高いのですが、どうしても注文者の力が強いことが多く、契約時に担保を取ることは難しいといえます。契約時にできるのは、担保ではなく、頭金を払ってもらったり、中間金を払ってもらったりすることで、早期に一部でも払ってもらう交渉になります。

 

一つ、担保を取ることのできるタイミングが、工事途中で注文者が信用不安になったときです。このときに、中間金の猶予を求められた場合は、建設途中の建造物と敷地を担保として確保できるよう交渉することができます。なお、建設途中の建造物は、まだ「建物」ではないので、抵当権を設定することはできません。土地の抵当権とともに、建造物には「譲渡担保権」というものを設定してもらうことになります。また、この建造物が誰のものかというのも議論になりますが、一部でも注文者から支払いがされている場合は、全面的に請負人のものであると主張しにくいことが多いのではないでしょうか。そのため、念の為譲渡担保を設定することが大切です。

 

次に、建物完成後に信用不安が分かった場合は、その建物を引き渡さないという「留置権」という権利を行使することができます。契約がなくても、留置権は使えます。一回でも引き渡してしまうと使えなくなるので、絶対に引き渡さないという強い意思を見せないといけません。そうすることで、注文者から優先的に支払いをしてもらうことができるようになります。

 

なお、民法には、「不動産工事の先取特権」というものも用意されていますが、あらかじめ登記しなければならないため、ほとんど使われていません。

 

週末のおでかけ日記

この週末は、妻の実家に帰省するついでに、千葉の香取市・銚子市に遊びに行ってきました。娘と一緒に、犬吠埼近くの海岸で遊び、太ももが筋肉痛です。なかなかゆっくりと休むことができませんでした。
なお、銚子といえば、鉄道の赤字をぬれ煎餅で補填していることで有名(?)な銚子電鉄があります。電車を見ることはできませんでしたが、犬吠駅というポルトガルの宮殿風建築の駅に行くことはできました。趣がありますので、お近くに行く機会がございましたら、訪問してみてください。なおぬれ煎餅は、想像以上に味が濃いですのでご注意を。

                                                                                                                  (2021年9月27日 文責:杉浦智彦)