会社で写真を用いることのメリット・注意点(5)
今回は、写真を用いたビフォー・アフター広告についてお話します。
美容クリニックや化粧品などの広告で、Before/Afterというキャプションが付いていて、利用前の写真と、利用後の写真とを比較するというものがよくありますよね。
このような広告を規制しているのが、「医療法」や「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(通称「薬機法」)です。
薬は、使い方を間違えれば、むしろ身体に害をなすことがあります。また、本当は効き目がないのに、あるかのように売らせておけば、治療などの機会がなくなってしまい、やはり危険です。
このような理由から、薬機法は嘘や大げさな表現を使った医薬品の広告を規制しており、その制限は細かく、厳格です。そしてこの薬機法は、医薬品だけでなく、化粧品の広告も規制をしています。
これによって、例えば「何日後」「何か月後」などの特定の時間をビフォー・アフター写真の近くに表記することは規制され、NGになる可能性が高いです。
さらに、医療法は薬機法よりも規制が厳しいといえ、医療機関でのビフォー・アフターの広告は、そもそも原則的に禁止となっています。
今回のコラムをご覧になった方には、「化粧品や医療品、医療サービスでない商品であれば、規制にかからないのではないか?」と思った方もいると思います。
確かに、薬機法や医療法の規制はかかりません。しかし、規制はあります。次回は、もう少し一般的なビフォー・アフター広告規制をご紹介します。
物好き弁護士のつぶやき
先日、渋谷Bunkamuraミュージアムで開催中の『マン・レイと女性たち』展に行ってきました。マン・レイ(1890-1976)は、フィラデルフィア出身の、パリで活躍した写真家です。多くの女性と恋愛関係になったらしく、女性を被写体にした写真で優れた作品を残しているところから、展覧会のタイトルが来ています。その作品の中に、「アングルのバイオリン」というものがありました。アングルのバイオリンというのは、フランス語の慣用句で、古典主義絵画の大家であるドミニク・アングルの趣味がバイオリンで、アトリエに来る人に無理やり聞かせていたことから、「下手の横好き」に似た意味なのだそうです。そして、マン・レイは、自分の写真を余技だと思っていたらしいのです。余技だった写真という分野で名を残したマン・レイは本当にカッコいい、私も何か趣味を見つけようと思いましたが、「ジャイアンのリサイタル」が頭をよぎりました。そして、法律家という仕事を頑張りたいと思ったのでした。 (2021年8月23日 文責:原田 大士)
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