懲戒処分で困らないために(4)懲戒解雇の有効性
引続き、懲戒処分についてのお話です。今回は、懲戒解雇の有効性について解説します。
懲戒解雇は、懲戒処分の中でも最も重たい処分です。そのため、その有効性についてはとても厳しく判断されます。
基本的な考え方はこれまでお話してきたとおりで、①就業規則などの処分の根拠があるか、②そこに定められた処分理由に該当するか、③懲戒解雇が処分として相当かという点がみられます。
懲戒解雇が無効とされた裁判例としては、以下のようなものがあります。
・上司からの業務命令に違反した社員を懲戒解雇した事例
→会社の秩序への影響は限定的で、懲戒解雇の理由とはならないとして無効(②の問題)
・飲み会の席でセクハラ行為をはたらいた社員を懲戒解雇した事例
→指導などの段階を経ずに一足飛びに懲戒解雇することは、処分として不相当として無効(③の問題)
・私生活で痴漢行為をした社員を懲戒解雇とした事例
→前歴等がないことから、懲戒解雇は処分として重すぎるとして無効(③の問題)
これらは無効とされた数多くの裁判例のごく一部です。
このような事例をみると、一般的な感覚からすると解雇されて当然とも思えるような場合でも、裁判所は無効と判断していることがわかります。
それだけ、懲戒解雇の有効性の判断は厳格になされるということです。
使用者側としても、懲戒解雇が正当な処分として認められるか、慎重に判断していく必要があるでしょう。
Atty’s chat
先日、横浜開港記念祭のイベントの一環として、臨港パークで花火が打ち上げられました。自宅の目の前での打上げだったので、特等席で観覧でき、多いに楽しみ、気分も晴れやかなものとなりました。
昨年は多くの花火大会が中止となってしまいましたが、今年は少しでも開催され、人々の心を癒してくれるといいなと思っています。 (2021年6月28日 文責:越田 洋介)
- 【下請・フリーランス新法】「買いたたき」とならないようにするための協議とは
- 退職に関するトラブルについて(9)
- 管理監督者をめぐる問題④
- 外国人雇用の法務(14)
- 【労働裁判例を知り、会社を守る!】第4回 同一の労働には同一の賃金を?
- 【下請・フリーランス新法】価格交渉をしないだけで「買いたたき」??
- 退職に関するトラブルについて(8)
- 管理監督者をめぐる問題③
- 外国人雇用の法務(13)
- 【労働裁判例を知り、会社を守る!】第3回 社内のセクハラを放置すると会社にも責任が生ずる?
- 【下請・フリーランス新法】フリーランス新法と下請法の違いとは②
- 退職に関するトラブルについて(7)
- 管理監督者をめぐる問題②
- 外国人雇用の法務(12)
- 【労働裁判例を知り、会社を守る!】第2回 痴漢で罰せられた従業員でも解雇は出来ない?
- 【下請・フリーランス新法】フリーランス新法と下請法の違いとは①
- 退職に関するトラブルについて(6)
- 管理監督者をめぐる問題
- 外国人雇用の法務(11)
- 【労働裁判例を知り、会社を守る!】第1回 準備時間も労働時間?
- 【下請・フリーランス新法】フリーランス新法が適用される「特定受託事業者」とは?
- 退職に関するトラブルについて(5)
- 助成金に関する問題④
- 外国人雇用の法務(10)
- 産業医とは?
- 【下請・フリーランス新法】フリーランス新法は「保護法」ではない!
- 退職に関するトラブルについて(4)
- 助成金に関する問題③
- 外国人雇用の法務(9)
- 傷病手当とは?