会社で写真を用いることのメリット・注意点(4)

今回から、写真を用いた広告に対する規制について、少しお話しようと思います。

景品表示法は、消費者が適切に商品を選択できるようにするため、実際の商品よりも品質が著しく優良であるかのように見せる広告表示を禁止しています。

レストランのメニューを例に、写真を使ったどのような広告表示が規制にひっかかってしまうのか、見てみましょう。

 

例えば、メニューでハンバーグが美味しそうに写っているので頼んでみたら、プレートの付け合わせの野菜が少し写真と違っている、なんてことがよくありますよね。
こういう場合は、メニューの名前には謳われている食材が実際には入っていないだとか、写真の食材と実際の食材とが著しく違う質のものだとかいった事情が無い限り、景品表示法上大きな問題になることは無いでしょう。

 

そこで次に、料理のメニューで、焼いた牛肉の写真とともに、「霜降サーロインステーキ」という表示でメニューを表示しているとしましょう。実際にはそのステーキ肉に、牛脂を注入した加工肉を使用していたとします。

上の例では、提供する料理自体の写真をちゃんと使っています。しかも、加工肉自体を使っているレストランは、多いのではないかと思います。

しかし、「ステーキ」という言葉には、牛の生肉の切り身を使った料理というイメージがあります。また、「霜降」というのは、脂身の筋のことだけを言う言葉ではなく、脂肪が肉に細かく交雑したような状態に牛を飼育する方法も指しています。ですから、実際には加工肉を使ったのに、「霜降サーロインステーキ」とだけ表示すると、規制にかかるのです。

 

基本的に広告には、商品それ自体の写真を偽りなく用いるでしょうから、注意すべきなのは、むしろ写真と一緒に用いる文章の説明なのだと言えそうです。

 

物好き弁護士のつぶやき

ちなみに、上の霜降りステーキの例は、実際の事例をもとにしたものなのです。
消費庁のガイドラインによると、そんな「加工肉の霜降ステーキ」を、メニューに表示する方法があるのです。
それは、「霜降ステーキ」の近くに「インジェクション加工肉使用」と明示するのです!
でもインジェクションって、、イメージを崩さず正しく表示する難しさを感じたのでした。

                                                                                                               (2021年6月21日 文責:原田 大士)