債権回収編 引上げと窃盗

弁護士は、依頼者の権利を守らなければならないのと同じく、法律も守らなければなりません。そのため、弁護士が、依頼者に対して違法と評価される可能性のある行為をするように促すことはできません。

その中で、緊急時の商品引上げというのは、弁護士からすると、なかなかコメントしにくい案件ではあります(笑)。会社が提供した商品でも、相手方に納入されてしまえば、それがいかに倒産直前の状況でも、勝手に取り戻すことは窃盗罪になる可能性があります。

 

債権回収が荒々しい時代(!)の昭和30年代の裁判例では、無理やり持っていって窃盗罪になるという事案が多発しています。ただ、昭和30年代であっても、実際に窃盗罪として刑事事件になっているのは、他社の製品を持ち出したり、従業員の制止を振り切って持ち出すような事例ばかりです。

 

そのため、よく言われているのは、自社製品だけ引き上げて、その際「従業員に黙認してもらう」という方法です。商品を引き揚げる際、ただ「これは自社製品なので引き揚げさせてもらいます」と言って引き揚げてしまう。こうすると従業員は黙ってみているだけでしょう。この場合社員は商品引き揚げを「黙認」したと評価され、窃盗罪にならないと言われています。

 

なお、他社の製品は、たとえ破産直前でも、持って帰ってはいけません。

勝手に持って帰った場合、窃盗罪になる可能性もありますし、仮に窃盗罪にならなくても、「否認権」というもので、破産管財人から無理やり回収されますので、頑張る意味がないのです。

 

週末のおでかけ日記

もう3月ですね。コロナウイルスもあるため、野毛に飲み歩くわけにもいかず、ストレスが溜まっております。さて、ステイホームの時間が長くなると、家で時間をつぶすために本を読む時間が増えました。最初は、意識高く、ミクロ経済学の本などを読んでいたのですが、もう今は漫画ばかりです。最近は、「ジャンプ+」などの、スマホで無料で読めるアプリも多いため、知らない間に、ものすごい時間が漫画に吸い取られています・・・。              (2021年3月8日 文責:杉浦智彦)