懲戒処分で困らないために(1)
今回から数回にわたり、労働関係における「懲戒処分」をテーマにお話をさせていただきます。
懲戒処分とは、会社が、問題を起こして会社の秩序を乱した従業員に対して課する、一種の制裁のことです。具体的には、戒告、減給、懲戒解雇といった処分を下すことになります。
遅刻や無断欠勤などの勤務態度の不良、または揉め事など、程度の差こそあれど、従業員の起こす問題と無縁でいられる会社はないでしょう。しかし、適切な懲戒処分を下すことはときとして難しく、あとで従業員側から有効性を争われて無効となってしまうということも、決して珍しいことではありません。
例えば、従業員が酔って他人の住居に侵入したとして住居侵入罪で有罪となったため、それを理由に会社が懲戒解雇したところ、解雇が無効とされたという、ちょっと驚いてしまう事件もありました。
このように処分が無効となってしまうと、元々の問題を解決できないばかりか、かえって大事になってしまいます。ですから、会社としては、しっかりと懲戒処分に関する理解を深めておくことが必要となります。
もっとも、懲戒処分が有効なものとして認められるかは、個々の事案ごとの具体的な事情に左右される面もあり、なかなか絶対的な基準を示すのが難しいところです。しかし、過去の裁判例を分析することで、「認められない懲戒処分」というものは、はっきりと分かります。
そこで次回以降では、こんな懲戒処分は認められないから気を付けてくださいという視点から、具体的な事例をもとに解説してまいります。皆さまが懲戒処分を検討される際に、参考にしていただけますと幸いです。
Atty’s chat
皆さま、はじめまして。本年の1月より弊所にて勤務しております、弁護士の越田と申します。
私は体を動かすのが好きで、休日は趣味の自転車で遠くまで走りに行っています。その一方、勉強は昔から嫌いでした。それでもここ最近は、自分が勉強したことが皆さまのお役に立つんだという意識から、勉強が(それほど)苦ではなくなりました。
これからも最新の裁判例や実務の動向等をも積極的に研究調査し、皆さまのお役に立つ情報をご提供していきたいと思っております。
今後ともよろしくお願いいたします。
(2021年2月15日 文責:越田 洋介)
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