未払い残業代を請求されたらどうする?(1)

ある日突然、弁護士から従業員の未払い残業代を請求されたらどのように対処したらよいのか、をテーマに今回から解説していきます。

会社にとっては切っても切れない問題ですが、「そもそもうちに未払い残業代なんてあるの?」というご質問もよくいただきます。

未払い残業代とは、労働基準法が定める「労働時間」(1日8時間など)を超えた労働に対し、割増した賃金を支払っていないことをいうわけですが、この「労働時間」が明確でないため、多くの会社では未払い残業代が発生している可能性があるのです。

たとえば、私服から作業着や制服への着替え、始業前の清掃、終業後の後片付け、作業着や制服から私服への着替えなど、実際に労働をしている時間でなくても、判例実務上は「労働時間」とみなされてしまいます。

また、タイムカードの打刻にはあらわれない「サービス残業」という言葉もありますが、これを会社が指示してやらせていればもちろん問題ですが、指示していなくても黙認しているような場合は、残業代を支払わなければならい可能性があります。

このように、未払い残業代は多くの会社にとっていつ発生してもおかしくない問題ですので、次回以降も詳しく解説していきたいと思います。

 

日々の雑感

年が明けましたが、まだまだ自粛ムードは続きますね。
1回目の緊急事態宣言の時は、裁判期日も取消され、業務にもかなり影響がありましたが、2回目の緊急事態宣言では、電話会議やウェブ会議の運用により、ほぼ予定通りに裁判期日が開かれております。
事務所にいながら裁判に参加できるウェブ会議などは、数分の期日のためにかける裁判所への移動時間がなくなりますので、コロナが収束しても継続してほしいですね。
それでは、本年もよろしくお願いいたします。                                                    (2021年1月18日 文責:下田和宏)