実録・団体交渉(5)
「事業所の一部閉鎖に伴い、当該事業所の従業員が労働組合を作って団交を求めてきた」という事案をについて解説しています。
前回、団体交渉の具体的な進め方について、解説しました。初回の団交開催前の準備として、①日時場所については1時間30分~2時間程度の「貸し会議室」、②人数は、労使双方同数でせいぜい4~5人、③議題については、あらかじめ書面ですり合わせておく、という話ですね。
これには、それぞれ理由がありまして、①については、組合側から、よく「御社の会議室でやりましょう」という提案を受けます。ただ、社内の会議室ですと、話を終わらせようと思っても、組合側が居座るリスクがあります。また、完全に隔離された会議室ならまだしも、執務スペースと取り合わせの空間で怒号が飛び交ったりすれば、社内の士気にもかかわります。そのため、外部の施設(貸し会議室)を使う方がベターです。費用については折半を求めますが、組合は「うちは社内の会議室でよいと言っているのだからそちらが持ってほしい」と言ってきますので、たかだか数千円ですから、会社で持った方が良いと思います。
たまに、組合事務所でやろうという提案もありますが、相手が何人来るか読みにくいですし、精神的に飲まれる可能性もあるので、あまりお勧めできません。もちろん、敵地に乗り込んで行って言いたいことを言ってくるという考え方もあります(笑)。
②の人数についても、特に制限を設けない場合、労働組合は、本件と関係ない組合員も動員し、多数で圧迫してくることがあります。こちらは役員と担当者、専門家2名でせいぜい4名ですから、組合側にも同数とすることを求めましょう。難色を示される場合には、「貸会議室のスペース上の問題」と説明するのも一つです。
最後に、議題と組合の要求・質問事項についてもある程度事前に整理しておかなければなりません。
要求や質問事項が分からなければ満足に回答できませんし、当日、五月雨式に質問されると時間が足りず、「ではまた次回」と引き延ばされる場合があります。
「事前準備と充実した団体交渉のため」と説明すれば、大体の組合は、抽象的にでも何かしらの回答をしてくるはずです。そんなこんなで、団体交渉は始まることになります。
グルメ弁護士のつぶやき
まだまだコロナ真っ盛りですね。開き直って無防備に生活をする方も出てきたそうで、さすがにそれには呆れてしまいます。ただ、最近の「今日の感染者●人!」という報道は明らかにミスリードではないでしょうか。検査者数、感染者数、重症者数、死亡者数あたりをセットにしないと、数字遊びになってしまいます。「正しく怖れる」必要がありますね。
(2020年8月14日 文責:石﨑冬貴)
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