実録・団体交渉(3)

「事業所の一部閉鎖に伴い、当該事業所の従業員が労働組合を作って団交を求めてきた」という具体的な事案をについて解説しています。

前回、団体交渉で必要なのは、法律的な理論武装だけでなく、戦略的な対応も必要というお話をしました。今回のケースでは、議論の中心は、「事業所の閉鎖」という経営に関する事項ですから、法律論としては怖くありません。ただ、法律論とは別に、戦略的な駆け引きは求められます。今は、閉鎖される事業所の従業員だけが組合を結成していますが、これが他の事業所まで飛び火すれば、組合としても大きくなり、上部団体もより気合を入れて団交をしてきます。下手すると、組合が固定化して、ベア(ベースアップ、定期昇給)なども求められかねません。
したがって、まずは、他の事業所に飛び火させないこと、かつ、今の組合員の結束の固さを確認する、という作業から始めることにしました。

前者については、案の定、組合側は逆の動き、つまり、組合員を増やす活動をしてきました。他の事業所の従業員についても、組合報などを回覧し、会社の問題点や組合の成果を喧伝するようになったのです。「会社は非道で無用な人減らしをしている」「組合が団体交渉をして譲歩を引き出した」「みんなで組合に入ろう!」みたいな感じですね。
会社としての対応は難しいところでしたが、幸いにも、他の事業所ではまともに取り合っておらず、組合報も特に閲覧されている様子はありませんでした。それでも、念には念をということで、会社側で事業所を頻繁に巡回し、許可していない場所(事業所内)に組合報がある場合、できる限り早期に撤去するといった作業を行いました。正直なところ、プライベートで個別に従業員間で連絡されると、会社としては対応できませんでしたが、従業員どうしで個人的な付き合いがあまりなかったため助かりました。

仮に、組合員が余暇を使って、他の事業所前でビラ配りなどすれば、業務に支障をきたすということで、警告するなどの方法が考えられたと思います。非組合員に、「組合には入らないように」などといえば、不当労働行為で組合から訴えられかねませんので、注意が必要です。次回に続きます。

 

グルメ弁護士のつぶやき

焼肉店ですが、無事、営業許可が取れました。12月1日オープン予定ですが、まだぐるなびも登録できていません。というか、ようやく設備関係が揃ったところで、まだメニューも固まっていません(笑)来週にかけて、色々と一気に決めていきたいと思います。間に合わなかったらすみません!でもなんとかなるはずです!ケ~セラ~セラ~(笑)

                                      (2019年11月21日 文責:石﨑冬貴)