台風で不動産から発生する被害は誰の責任?

 

  先日、台風19号が発生し、かなりの被害がでているようです。そんな中また、20号、21号と続いて台風が発生しているようですから、本当に心配な状況が続いております。

 

 そのため、最近、「台風のとき、大家はどんな責任を負うのですか?」という質問が増えていますので、今回はそのお話しです。

 

入居者さんが台風の被害で、建物が壊れ、怪我をした。大家さんに、賠償義務が発生するのか。

 

 こちらの相談数が多いのですが、予防的に、一般論として回答するのがなかなか難しい問題です。裁判例としては、分かれています。老朽化していて、常々「危ない。けがをするかもしれない。」という建物であれば、大家さんの責任を認めた裁判例もあります。一方で、実際に建物を管理しているのは入居者さん自体だ、浸水が生じたのは入居者の使い方が悪く、それで栓が詰まって浸水したともいえる。だから、入居者さん自体の責任だと、大家の責任を認めない裁判例もあります。そのため、弁護士としても、具体的状況なく、回答するのは難しいご質問なのです。

 

 また、被害が起きたときに備えたいというご相談もあるのですが、台風被害のような場合に責任を全部賃借人が負うといった形の特約は、裁判例上否定される傾向にあります。なので、契約書で対策すれば大家さんとして安心できる、というものでもありません。

 

 このような突発的な天災については、「損害保険」で備えておくのが、実務的な対策かと思います。保険自体は、各契約自体で補償内容と保険料が変わってくるので、その範囲を改めて確認するのが大家さんとしては必要な事柄です。

 

 一方で、入居しているテナントで、会社のほうが被害を受けたということであれば、まずは管理会社、オーナーさんに連絡してみるべきです。大家さんの保険で、入居者側の損害も補填できる可能性があります。

 

 とはいえ、早く台風のシーズンが過ぎ去って欲しいものですね。

 

のどかな弁護士の近況

 最近の台風続きの気候は、本当に不安になりますね。前回の台風19号では、私も食料を買い込んで、ライトを準備して、危なそうなものはベランダから撤去すると、注意して臨みました。とはいえ、地震・台風はしっかりとあらかじめ避難バッグのようなものを準備しておいたほうが良いのでしょうね。今後の教訓にしたいと思いました!

(令和元年10月21日 文責:山村 暢彦)