企業経営にまつわる刑事事件 第10回 窃盗(3)
 定期的に棚卸をして、従業員による窃盗を防ぐ?

 いきなり「従業員による窃盗」などと書くと、会社さんと従業員さんの関係性を疑うようでなんとなく気が引けますが、、今回は、会社の立場として、従業員による窃盗を防ぐためにはどうすれば良いのかをお話させていただきます。

 

 この問題を考える上でわかりやすい例は、飲食店かと思います。飲食店というとやはりアルバイトを雇うことになりますが、そのアルバイトさんが食材の肉、魚や野菜を持ち出してしまうということが横行している飲食店も存在するようです。
 

 オーダーミスや廃棄などでどうしても仕入れや売上などの帳簿上の計算が合わないことはありますが、単純に「アルバイトさんが食材を持ち出したり、その場で調理して食べてしまっている」というケースもよくあります。最初は「廃棄だから」という理由などでおそるおそるやっていても、そのうち廃棄前でも堂々とやるようになり、それが他のアルバイトさんにも波及して……ということが起こり得ます。

 アルバイトさんといえど、会社の所有物である肉や魚などの食材を自由に使ってしまえば、立派な窃盗罪になります。

 

 会社としてこれをどこまで防ぐかどうかは重要な問題になります。

 

 「防犯カメラを設置する」「従業員管理をしっかり行う」などの対策が一番わかりやすいかとは思いますが、やはり一番の対策は「定期的にしっかり棚卸をすべき」ということになります。当たり前といえば当たり前ですが、これをしっかりできている会社さんは多くないように思います。

 

 上記のようにオーダーミスや廃棄などで帳簿上の計算が合わないということは100%は防げませんが、例えば窃盗などが行われている場合には、出来るだけ早めにそれを発見して悪化の芽を摘んでおくことが重要です。

 

弁護士の徒然草

 異様に湿度が高い日々が続きます。毎年夏になると「毎年こんなに暑かったか…?」と同じことばかり考えてしまいますが、「毎年こんなにジメジメしていたか…?」と思ったのは、今年が初めてのように思います。身体がベタベタして、実に不快指数が高いですね。(それでもしっかりジャケットを着ている弁護士が多く、尊敬してしまいます。)やはり、梅雨の影響なのでしょうか?ただ、梅雨も明け始め、カラっとした夏晴れの日も増えてきているように思います。これからが、夏本番ですね。皆様も、熱中症などに気を付け、水分をしっかり摂って夏を乗り切りましょう!

                                   (2019年7月29日 文責:佐山 洸二郎)