「ホームインスペクション」の実際と今後

先日は、レオパレス事件を題材に建築瑕疵のお話しをさせていただきました。建築瑕疵、不備の問題の解決のために、「ホームインスペクション」という制度を導入しようという動きがあるというお話しでした。「ホームインスペクション」とは、建築士などの専門家に、言わば、建物の健康診断をしてもらう、という制度です。

 

先日、早速このホームインスペクションを取り入れた不動産会社から相談を受けましたので、ご紹介したいと思います。

今回の相談では、「建築士さんにホームインスペクションを受けていたのだけど、後から雨漏りに気付きました、誰の責任なの?」というものでした。直感的には、雨漏り等の建築確認するのがホームインスペクションですから、建築士さんの責任だ、という話になりそうです。ただ、通常の雨なら雨漏りしないが、台風などの強い雨の際には雨漏れしない、どこまで危なければその説明をしなきゃいけないのか、どれだけ建築士さんが説明義務を負うのか、この辺りは、これからの裁判例によってその責任の範囲が決まっていくと思います。

不動産、土地建物の取引では、買ってみた後に分かるトラブルが非常に多いです。土地だけでも、瓦礫が埋まっていた、湧き水等地盤沈下のおそれがあるなど、良くある話ですし、建物では、水漏れ、天井が痛んでいた、給湯器等設備が壊れていたなど良くあります。

 

このようなトラブルを不動産会社、仲介会社が、説明義務を負う、という形で不動産取引の安全性を担保していたわけです。ただ、不動産会社にも調査できる範囲には限界がありますので、この調査を建築の専門家に依頼し、一歩進めたのが「ホームインスペクション」制度と言えます。とはいっても、建築士の調査でも発見できない瑕疵というのは残るでしょうから、ホームインスペクションという制度があるから、すぐに不動産の取引問題が解決する、という話にはならなさそうです。

と、ちょっと法律説明が多くなっちゃいましたが、今まで同様注意深く専門家のアドバイスを受けて進めたほうが良いといえるでしょう。

 

のどかな弁護士の近況

最近は、革靴を磨くのにはまっています。弁護士という職業柄、常に案件のことを考えがちなので、頭を空っぽにする意味でも、なんだか良い趣味な気がしています。最近靴磨きも流行っているそうで、「PCと靴」というよく分からないイベントも開催されたそうです。意外とハマると凝るので、最近は、色んな靴のHPを眺めたりもしています。

                                     (平成31年4月8日 文責:山村暢彦)