働き方改革法案の概要(5)

 今回は、「働き方改革関連法案」シリーズの最終回です。最後に、「同一労働同一賃金」という重要なテーマを扱って終わりたいと思います。同一労働同一賃金は、正社員かにかかわらず、同じ労働をしているのであれば、同じ待遇にしようというものです。

 

 まず、基本給については、能力や経験、成績や勤続年数、責任の程度、異動の有無など、評価する方法が多岐に渡りますので、単純に同じ作業をしているからといって、同じように評価することはできません。厚労省のガイドラインでも、「趣旨や性格が様々である現実を認めた上で」、同じなら同じ、違うなら違う給与を支給すべき、とされていますので、今のところは、客観的な判断基準もないといえます。

 

 他方、各種手当については、企業によって色々な給付がありますが、ガイドラインでは、①役職手当、②特殊な作業に対して支払われる作業手当、③業務内容が同一の場合の精皆勤手当、④割増賃金の割増率、⑤通勤手当や出張旅費などの実費、⑥食事休憩がある場合の食事手当、⑦同じ支給要件を満たす場合の単身赴任手当、⑧地域手当などは同じように給付しなければならないとされています。ただ、これらはあくまで一つの考え方です。同じ役職手当や皆勤手当という名前でも、支給の要件が異なれば違う性質を帯びます。あくまで、「正社員と非正規との間で別の待遇をする理由があるかどうか」という視点でみることになります。

 

 大きく報道されたハマキョウレックス事件では、結局、住宅手当を除く、全ての手当(無事故手当、作業手当、給食手当、皆勤手当、通勤手当)について、契約社員との格差は違法という結論になりました。基本給はともかく、各種手当に関しては、同じ勤務をする労働者の間での格差は、かなり厳しく判断されると考えてよいと思います。

 

 5回に渡って働き方改革法案を解説してきました。今後、労務については、企業の責任が重くなっていくことが明らかですので、少しずつでも労働環境の整備を進めていきましょう。

 

グルメ弁護士のつぶやき

期末ですね。おそらく、平成のうちに私が担当する最後のニュースレターだと思いますが、特にネタもないので、いつもどおり食べ物の話をします(笑) 最近、卵に凝ってしまい、1個100円する卵を買ってみたところ、確かにうまい。調子に乗って、1個500円する卵も買ってみたのですが、100円と500円の差はよく分かりませんでした。高い卵に共通するのは、黄身がオレンジ色ではなくレモン色であることと、白身のキレがよいこと。うまい卵は白身が違うようです! 今期はだいぶ専門特化しましたが、来期は色々な分野に挑戦したいので、「卵を一つのカゴに盛るな」という相場格言で締めたいと思います。

(2019年3月26日発行 文責:石﨑 冬貴)