企業経営にまつわる刑事事件 第7回 名誉棄損(3) 会社への名誉棄損の例と対策

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第7回 名誉棄損(3)…会社への名誉棄損の例と対策   

今回は、名誉棄損罪の最終回として「会社に対する名誉棄損」が成立するのは具体的にどのようなケースなのか、そしてそのような場合に会社としてどういう対応をすれば良いのかについて、お話させていただければとおもいます。

 会社に対する名誉棄損で近年よく問題となるのが、飲食店やホテルなどのサービス業に関する、インターネット上での誹謗中傷の書き込みです。

 例えば、インターネット上の掲示板やいわゆるSNSに、「あの店は料金を水増し請求してくる。」「あの店の従業員は酒を飲みながら接客をしている。」「あのホテルのシャンプーは水で薄められている。」「あの旅館で出てくる料理は使い回しがされている。」などといった書き込みで考えるとわかりやすいでしょうか。

 このような書き込みは、名誉棄損となる可能性が高いです。また、名誉棄損とまではいかない場合であっても、会社として放っておくわけにはいきません。会社側としてはどのような法的措置が講じられるのでしょうか。

まずは、書き込みを行った本人及び書き込みがなされた掲示板やSNSの管理人に対して、そのような書き込みの「削除要請」をすべきでしょう。

それでも全く削除がなされないようでしたら、書き込みの程度によっては、削除・損害賠償等を求める民事訴訟や刑事告訴も検討すべきこととなります。

民事訴訟や刑事告訴についてはもちろんのこと、削除要請の段階であっても、やはり弁護士によってなされる方が効果的であることが多いです。変な書き込みをされてしまって会社に風評被害が生じてしまったら大変です。

そうなってしまう前に、是非早めにご相談下さい!

なお、今話題の「くら寿司」や「セブンイレブン」での不適切動画の投稿も、同社への名誉棄損等にあたり得るものです。同社のいう「法的措置」がどのようなものなのか、今後の動向が気になるところですね。

弁護士の徒然草

名誉棄損罪に関するお話は、今回で最後となります。「名誉棄損で訴えてやる!」などというフレーズはテレビなどでもお馴染みです。しかし「名誉棄損」はどこからどこまでなのか、そして「訴えてやる!」というのは実際に何をすることなのか、よく考えるとなかなか難しいです。ほんの少しでも、イメージしやすくなっていただけましたでしょうか。

 ところで、皆様が「企業経営にまつわる刑事事件」としてぱっと思いつく犯罪と言えば、何でしょうか?何かご要望などいただければ、次回からはそれを題材とさせていただければと思います。…と言って何も希望がないと寂しいので、、思いつくままに、どうぞコメントをよろしくお願いいたします!

                             (平成31年2月12日 文責:佐山 洸二郎)