働き方改革法案の概要(3)

 いわゆる「働き方改革関連法案」を解説しています。前回までに、「労働時間の上限規制」と「高プロ」(高度プロフェッショナル制度)について解説しました。目玉はこの2つですが、他にも重要な改正がありますので、今回はそれらを解説します。

 

 務的に一番影響が大きいといわれているのが、中小企業の割増賃金についての改正です。時間外割増賃金(いわゆる残業代)は2割5分アップ(基本給が1時間あたり1000円なら、時間外労働については1時間あたり1250円)ですが、以前の改正で、残業時間が60時間を超えると、その分について5割アップ(同様に1000円なら、1時間あたり1500円)となりました。ただ、中小企業の現場では、あまりに負担が大きいということで、中小企業に対しては猶予され続けていました。それが、今回の改正で、2023年4月1日から、全ての企業に義務付けられることになったのです。中小企業の皆さんは、今のうちから、残業時間の削減など、準備をお願いします。

 

 また、有給の取得についても重要な改正があります。10日以上有給休暇がある従業員には、そのうち5日分について、毎年、会社側が日時を指定して与えなければならなくなりました。これまで、有給休暇は、従業員側が「取る」ものでしたが、これからは、会社が「取らせる」ものになったということです。名ばかりの有給で、取るに取れないというのを防ぐことが目的です。確かに、結局使い切れず、退職時にまとめて取得したり、会社が買い取るというのが、珍しくない慣行かと思います。

 

 重要なのは、これは、2019年4月1日から、つまり、来年の春から始まるということです。もうまもなくですので、有給の管理など社内の運用をどうしていくか検討を始めてください。

 

 そのほか、勤務間インターバル制度の普及促進や、同一労働同一賃金などについても法律が改正されていますので、次回そちらを解説してまとめとしたいと思います。

 

グルメ弁護士のつぶやき

 今日は、リアルに私の誕生日です。34歳になりました。自分では若いと思っていても、20代のころと同じことはできなくなりますね。胃カメラではなんともなかったのですが、なんとなくまだ胃も痛いので、お湯割りか熱燗ばっかり飲んでるし。(でも酒はやめません)ただ、業界的にはまだまだ中堅にも至らないひよっこです。還暦どころか古希過ぎても現役の弁護士はごろごろしています。「人間、今が一番若いんだよ。明日より今日の方が若いんだから。」

 

(2018年12月10日発行 文責:永六輔、もとい石崎)