企業経営にまつわる刑事事件 第6回 名誉棄損(2)会社の名誉を毀損?

 前回は「名誉棄損罪は、生身の人間に対してだけでなく、会社に対してでも成立するのか?」というところまでお話をさせていただきました。

 

 「人の名誉を毀損する」というとイメージしやすいですが、「会社の名誉を毀損する」というとあまりしっくりきませんよね。

 

 結論としては「会社に対してでも名誉棄損罪は成立する」ということになっております。

理由を教科書的に書くと「名誉棄損罪が保護しようとしているのは名誉感情ではなく外部的名誉(事実的名誉)であるため」となります。……これだけだと、何を言っているのか全然わかりません。

これを平たく言うと、名誉棄損罪は「名誉感情」といった感情面ではなく、単純に「外部からの評価」を保護しようとしている、ということになります。つまり「会社には感情自体はないが、会社の外部的評価自体は下がるおそれがあるため、それを保護する必要がある」ということなのですね。

例えば、会社という法人自身には確かに感情はありませんので、何か名誉を害することをされても「私の名誉が傷ついた!」などと思うことはありません。ただ、例えば「あの会社は内部でこれこれこういった問題が発生したにもかかわらず金の力で揉み消した」などという情報を発信されてしまった場合には、その会社の外部からの評価は下がってしまいますね。

 

 そのような場合には、情報発信者に、会社に対する名誉棄損罪が成立するということになります。

 

 もし皆様の会社の名誉が毀損されるおそれがあるようなことがありましたら、すぐにご相談下さい。弊所はまさに企業法務と刑事事件を数多く取り扱っておりますので、必ずお役に立てることがあると思います!

 

 

弁護士の徒然草

 前回は「今年の猛暑はひどかった。」などという話を書かせていただきました。

 あれからまだ2か月半ほどしか経っていないのですが、もはや完全に冬模様ですね。気温もぐっと低くなり、コートを着てらっしゃる方も多くなってきております。

 

 季節柄、皆様風邪にお気をつけ下さい。なお、私は風邪をひきました。不幸中の幸いか、風邪をひいてすぐに連休がきてくださったため、睡眠と休養をたっぷりとることが出来ました。 

 

 そしてこれからは、インフルエンザの季節ですね。しっかり栄養をとって、インフルエンザを跳ね返していきたいものですね!

(2018年11月27日発行 文責:佐山洸二郎)