働き方改革法案の概要(2)

前号から、いわゆる「働き方改革関連法案」を解説しています。前回は、最も目玉となった労働時間の上限規制についてご説明しました。今回は、もう一つの目玉である「高プロ」(高度プロフェッショナル制度)についてです。 メディアでは「高プロ」などと訳されていますが、これは「高度プロフェッショナル制度」の略です。ただ、これも通称で、正確には、「特定高度専門業務・成果型労働制」という名称になります。

 

この制度を設けるにはかなり複雑な規制が課されています。ざっと要件を眺めると、①労使委員会の5分の4以上の議決で「高プロ」についての定めをし、 ②対象者(書面上職務が明確かつ平均給与額の3倍(1075万くらい)を上回る者)の個別の同意を得て、③高度の専門的知識を必要とし、性質上、従事した時間と成果との関連性が通常高くないものとして省令で定められた業務につき、④⑴労働時間の管理、⑵一定の休日の付与、⑶一定の措置(臨時の健康診断、インターバル制度の導入、労働時間の上限設定、長期休暇の確保のどれか)を講じた場合に、導入できるとされています。また、従業員側は、いつでもこの制度への同意を撤回できます。はっきりいって、なんのこっちゃ・・・という感じですね。これは簡略化しているので、条文はもっと複雑です。

 

ただ、結論はシンプルで、高プロ制度が適用された従業員は、労働時間の上限、休憩の付与、残業代の支払が免除されます。 これに対し、「高給取りには残業代を払わなくてもよいのか!」という批判があったため、色々な条件が後から追加され、こうなってしまいました。政治的な駆け引きの産物ですので、非常に使いにくく、現実にこの制度が使われることはほぼないと思います。ただ、今後、在宅ワークなど、様々な働き方が増えてくるのは間違いありませんから、もっと使いやすい別の制度が生まれるかもしれませんね。次回に続きます。

 

グルメ弁護士のつぶやき

酒を飲みすぎました。なんとなく体調がよくありません。でも酒はやめられないので、最近 は、できる限りの健康志向を心がけています。①ストレッチやスクワット、腕立てなど、軽い 運動は欠かさない。②朝は白湯を飲む。③腹いっぱいになるまで食べない。④日ごろの酒は抑 える。といったあたりです。ただ、4つだと不吉なので、⑤酒を愛する。を入れておきます。「アルコールは人間にとって最悪の敵かもしれない。しかし聖書には敵を愛せよと書いてある」

                                   (2018年10月8日発行 文責:石崎冬貴)