事業承継編(2)分散している株式を集める方法(金庫株)

【前回の続き】Q)「事業承継」に向けて、現在、「おじ」や「いとこ」までに広がってしまっている株式をできるかぎり集めたいと思います。どのような方法をとればよいでしょうか。

 

事業承継の一つの「キモ」は、その会社の株式をどれだけ集められるかというところにあります。今回は、①経営者・後継者自身のキャッシュがない場合の対応方法について解説します。

経営者・後継者自身のお金を使えないとなると、残された方法は、会社のお金で買い取る方法になります。これを「自己株式の取得」といいますが、一般的には「金庫株」なんて呼ばれています。

金庫株の取得は、会社財産の流出になるので、実は規制が厳しいのです。会社の内部留保がある程度必要となります。また、原則として、株主総会で3分の2以上の賛成が必要になります。ほかにも、さまざまなハードルを乗り越えなければなりません。簡単にできるわけではないのです。

ただ、最近の会社法の改正で、さらなる株式の分散を避けられるように、定款であらかじめ定めておけば、株主に相続が起こったときにその株式を会社が買い取れる制度(売渡制度)が導入されました。この制度を使うと、後継者以外の株主が広がることはある程度防止できるので、導入を検討している企業も多いと思います。よければ顧問弁護士に一度ご相談ください。

次回は、②相手方の同意なく株式を強制的に買い取れる方法について解説したいと思います。

 

週末のお出かけ日記

先日、実家に帰省がてら、奈良に観光に行きました。久しぶりに奈良公園に行き、鹿に囲まれて鹿せんべいを脅し取られました。角がある鹿は、なかなか怖いもんですね・・・。ただ、鹿と触れ合えるということで「インスタ映え」するらしく、海外の方には大変人気みたいですね。観光客の8割は海外の方でした。みんな写真を撮っていました。私も、鹿に囲まれて集団で脅されている様子を妻に撮影されてしまいました・・・。

(平成30年8月27日発行 文責:杉浦智彦)