懲戒処分で困らないために(3)戒告・譴責の有効性
前回は、懲戒処分が有効とされるための大原則についての話でした。今回からは、具体的な懲戒処分ごとに掘り下げます。
今回は、戒告・譴責処分についてです。
戒告・譴責はいわゆる「注意」で、懲戒処分のなかでは最も軽いものとなります。
そのため、前回お話した、「労働者の問題行動と処分のバランス」はあまり問題とならず、むしろ、本当に懲戒事由にあたるのか、という点を厳しくみられる場合があります。
例えば、戒告が無効とされた裁判例として、以下のようなものがあります。
労働者が、就業時間外に、職場において、政治活動として政治的な内容のビラを配布したため、就業規則で禁ずる職場の秩序を乱す行為にあたるとして戒告処分。
→ビラ配布は、平穏に手渡しや机上に置くというもので、配布時間も数分であったし、内容も過激なものなどではなかったことから、実質的には職場の秩序を乱す行為にあたらない(=就業規則の定めた懲戒事由に該当しない)として処分が無効とされた。
この裁判例において注目していただきたいのは、配布の方法、配布に要した時間、ビラの内容などの事情を考慮し、実質的に職場の秩序が乱されたかを検討し、懲戒事由に当たるかを判断している点です。
このように、最も軽い処分である戒告・譴責処分であっても、細かい事情を踏まえて懲戒事由にあたるかを厳しくみられます。
処分を下す側としては、正確な事情を把握のうえ、就業規則に反しているかを慎重に判断することで、後に処分が問題となるリスクを減らすことできるでしょう。
Atty’s chat
5月現在、横浜では「ガーデンネックレス」といって、色鮮やかな花々で山下公園や日本大通りなどの街並みが彩られるイベントが催されております。
特に山下公園はバラが見事で、様々なバラの色や香りが楽しめて、おすすめです。
こんなご時世にあって、変わらず凛と咲き誇る花々にはとても癒されますね。 (2021年5月17日 文責:越田 洋介)
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