退職に関するトラブルについて(12)

今回は、試用期間中の従業員の解雇について説明いたします。

 

試用期間とは、従業員を採用するかどうかを見極めるために会社が設ける一定の期間のことです。

この試用期間中に従業員を解雇できるのか、という問題ですが、試用期間中であっても解雇は認められます。
なお、試用期間の途中に解雇するだけでなく、試用期間満了時に本採用しない(本採用拒否)という場合も労働法上は解雇となりますので、ご注意ください。

それでは、従業員を試用期間中に解雇する場合について詳しく見ていきます。
まず、試用期間が開始してから14日以内であれば解雇予告は不要ですので、即日解雇が可能です。
逆に、15日以上経過している場合は、30日前の解雇予告か30日分の平均賃金に相当する解雇予告手当が必要となります。

次に、解雇の有効性ですが、試用期間は従業員の適性を判断するためのものという趣旨から、通常の解雇よりも解雇が認められる可能性は高いといわれています。

 

ただし、試用期間中であっても、解雇の要件である、客観的な合理的理由などは必要ですので、試用期間が満了したことだけを理由として、本採用しないなどの判断は無効となります。

解雇以外の方法としては、試用期間を延長して様子を見る場合や、退職勧奨により退職を促すなどの方法が考えられます。いずれの方法も強要してしまうとそれ自体違法と判断されるリスクもありますので、慎重に行う必要があります。

 

日々の雑感

暑くなったり寒くなったりと季節の変わり目を感じます。
これからは花粉症には辛い時期ですので、しばらくマスクが手放せません(ひどいときはマスクがあっても防げませんが)                                                                                                                (2025年3月4日 文責:下田 和宏)