第139号 債権回収の諦めのタイミング~貸倒処理(1)~

今年度もあと少し。今回と次回で、債権回収を弁護士に依頼する一つのメリットである「貸倒処理」の話をしようと思います。債権について、回収不能の状態が発生した場合、会計上は貸倒損失を計上することができ、これが税務では損金算入できることとなります。

ただ、貸倒損失というには、単に「払ってくれない」というだけではなく、さまざまな事情が必要となります。

倒産手続きの場合のほか、法人税基本通達9・6・1(4)では、「債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合」、同9・6・2では、「担保物がなく債務者の資産状況、支払能力等からみて金銭債権の全額が回収不能」といえる場合、同9・6・3では「取引停止後1年以上経過した場合」か「同一地域の売掛債権の総額がその取立費用に満たない場合」というのが貸倒損失として挙げられています。

回収できない最悪の場合でも、貸倒損失と認められ、適切な処理により債権放棄を行えば、損金と認められ、節税ができるわけです。

 

では、倒産したという事情がないときに、どういう事情があれば「貸倒損失」といえるのか。それを次回の年度末の号に説明できればと思います。

週末のおでかけ日記

先週、大学生のとき以来になりますが、インフルエンザにかかってしまいました。今季のインフルエンザは熱が出ないと言われていましたが、40度の高熱が出て、正直死にかけました。ただ、弁護士ドットコムのニュース記事の執筆の機会をいただいたり、初めて編集として関与した書籍である、日弁連中小企業法律支援センター編『中小企業法務のすべて』(商事法務)が出版されたりと、周囲からすれば順風満帆な感じが出ていたようです。たまにはインフルエンザでゆっくり休養を取るのもよいのかもしれません(←きっと違う)。(平成29年2月20日発行 第139号(文責:杉浦 智彦)