知って得する生成AIと法律

生成AIで作った作品の権利は誰のものなのか?

 

さて、今回は趣向を変えて、私の最近の興味分野である生成AIと法律の関係について解説します。近年AIの進化は著しく、対話型のAIだけでなく、絵画や漫画、映画やドラマ、アニメ、小説など本来人間しか作ることのできなかった芸術分野の作品などもAIにも作り出すことが可能になっています。経営者の皆様にとっても、事業における生成AIの活用は今後拡大の一途をたどっていくことが予想されるため、弁護士の視点から見た生成AIと法律の関係について考えていければと存じます。

 

まず、一番オーソドックスな疑問として、生成AIを用いて作った作品の権利は誰のものなのかという点です。通常人間が作った作品については、著作権等の知的財産権が発生し、作品の制作者がその権利を持つことになります。

 

では、生成AIが作った作品は、その生成AI自身が権利を持つのでしょうか。

結論から申し上げれば、少なくとも現在は法律上、生成AI自身が作品の権利を持つことはできません。
著作権等の権利が発生するには、作品が「著作物」でないとなりません。「著作物」とは、「思想・感情を創作的に表現したもので、文学、芸術、学術、美術、音楽の範囲に属するもの」とされており、生成AIには思想や感情はないため、AIが作成したものは「著作物」とは認められず、著作権も発生しないとされています。

 

2022年8月には、「Théâtre D’opéra Spatial(スペースオペラシアター)」という絵画が、米国コロラド州の美術品評会デジタルアート部門で1位を獲得し、これが後に画像生成AIによる作品であることが判明しました。作品を提出したアーティストがAIを権利者として著作権登録申請をしたものの、登録を拒絶されたとのことでした。

 

次回はこの考え方の例外などについて解説できればと思います。

 

後書き

結局AIには思想や感情がないから、人間とは違うという結論になってしまいましたが、本当にそうでしょうか。映画「AI」や「ターミネーター」、漫画「鉄腕アトム」のように、感情を持って動くロボットやコンピューターの登場はかなり以前から予見されています。
今後AIやロボットが思想や感情を自律的に持つようになり、知的財産権だけではなく、人権などについても考え直さなければならない未来が来るかもしれません。                                                         (2026年7月29日  文責:高橋  涼馬)