第137号 副業の法的問題(1)~副業は許されるの?~

ここのところ、社員の副業について、テレビなどでもよく取り上げられています。政府の働き方改革などでも、副業を積極的に認めようといった提言がなされています。

そこで、副業は法律的にどのように考えるべきなのか、企業として、副業を禁止する場合、認める場合、どのような注意点があるのかなど、今後1年間かけて解説していきたいと思います。

それでは、そもそも従業員が会社の仕事以外の「副業」をすることは、法律上問題ないのでしょうか? この問題にこたえるには、会社と従業員との間で締結される、雇用契約とはどのようなものかを考える必要があります。「雇用契約」というのは、簡単に言いますと、従業員の勤務時間を、会社が買う契約です。勤務時間の間は、従業員は会社の命令に従い、会社のために仕事をする義務を負います。一方会社は、その勤務時間に対応する報酬を支払うというわけです。

そうしますと、会社と従業員との関係は、あくまでも「勤務時間」の売買です。勤務時間以外の時間で、従業員が何をしても、基本的に会社とは無関係なわけですね。従業員が時間外に、テレビを見ようが、旅行に行こうが自由です。それなら、同じように、時間外に「副業」をしても自由ということになります。これが法律上の結論です。ところが現実には、「副業」は会社に対する裏切りみたいに考えられていますよね。「就職」と「結婚」は、よく対比されますが、従業員が副業するなんて、配偶者が浮気をするくらい悪いことだと思われています。

こういう意識がそもそもどうして生じたのか、さらには法的に考えて、副業を禁止できる場合はないのかなど、次回以降検討して! 

質問やコメントを貰えると嬉しいです。 平成29年1月10日発行 (文責:大山 滋郎)