【事業承継編】非上場株の評価ルールが刷新へ。国税庁の検討会議が始動(2)

前回、非上場株式の評価ルールが見直される可能性についてお伝えしました。

今回は、その議論の核となっている「類似業種比準方式」の課題について、少し掘り下げてみたいと思います。

 

現在、多くの非上場会社で用いられているこの評価ルール。簡単に言えば、「似たような業種の上場企業の株価を参考に、自社の株価を決める」という手法です。その考え方自体は理にかなっており、公表されている上場企業の株価を用いることで、一定の公正性が保たれているように見えます。

 

しかし、上場企業と非上場企業では前提条件が大きく異なります。代表的な違いは「規模(小さいほど価値が低いとされる)」と「非流動性(証券市場で売買できない)」です。これらを踏まえ、従来の相続税法では一定の割引が適用されてきました。ところが、この割引率に明確な理論的根拠はなく、相続税の算出過程で「これくらいが妥当だろう」という慣習的な判断で調整されてきたのが実情です。
この理論的な脆さを背景に、今まさに専門家の間では「この計算方法は、もはや実態に即していないのではないか?」という指摘が強まっています。

 

例えば、第2回有識者会議における弥永真生委員(明治大学教授)の資料では、近年の会社法関連の裁判例において「類似業種比準方式」が全く採用されていない現状が指摘されています。その上で、企業価値の評価にあたっては、最低限、決算書の「純資産価額」をベースにすべきではないかという議論がなされています。
これを聞くと、「裁判でも使われない手法なら、純資産を最低ラインにするのは妥当ではないか」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、純資産価額の算出といっても、様々なパターンがあるという現実や、現行の株価評価でもすでに経営実態に対して高すぎる(相続税負担が重い)といった商工会議所等からの懸念の声も上がっています。

 

次回のコラムでは、なぜ「純資産ベースの評価」への移行が簡単ではないのか、その難しさと経営への影響について解説していきます。

 

最近のへべれけ日記

実は今、アメリカにいます。時差ボケで苦しまないように、飛行機の中で、水分を過剰に摂取しようとしたのですが、だいたいアルコールだったので、かえって体内の水が抜けていきました(苦笑)。月末には戻りますので、また次回はアメリカのおみやげ話でも。                                                                                        (2026年6月22日  文責:杉浦  智彦)