労働事件裁判例のご紹介⑪

実際の労働事件の裁判例を紹介するシリーズの第11回目です。

近時における、会社の主張が認められた裁判例を紹介しますので、皆様の労務管理の参考としていただけますと幸いです。

今回は、会社における業務命令や指導について、これがパワハラには当たらないとされた事案です(大分地判令和2.3.19)。

【裁判の概要】
上司Yが、部下のXに対して、台風により各警報が出ている日に出社を命じたり、指導中に「そんなこともできないのか」等と苦言を呈したところ、Xがこれらの業務命令や指導がパワハラに該当するとして損害賠償を請求しました。

【裁判所の判断】
これに対して裁判所は、ことの経緯としてXにも問題があったことを理由に、Xの請求を退けました。

【ポイント】
パワハラに該当するかどうかは、労働政策法で示されている3条件(①優越的な関係を背景としている、②必要かつ相当な範囲を超えている、③就業環境が害される)を参考にして判断されます。
ただし、実際の判断にあたっては、3条件への該当性を機械的に判断するわけではなく、諸事情が総合考慮されます。

 

本件では、そもそもXの仕事の進め方が遅く納期を過ぎていたことから出社の必要が生じたことや、指導に対して反抗的で威嚇のような言動をとっていたという事情がありました。そのため裁判所は、Yの対応にも問題はあるとしつつ、Xの上記事情も総合考慮し、パワハラには該当しないと判断しました。

 

ハラスメントへの問題意識の高まりを受け、会社内でハラスメント該当性を判断しなければいけない場面もでてくるかもしれません。その際には、被害を訴えている側にも問題はなかったなども確認し、総合的な視点で判断する必要があるでしょう。

 

Atty’s  chat

先日のシルバーウイークでは、山形県で出羽三山にお参りしてきました。三山三様といった様子で、各山ごとに全く違う風景が広がっていてとても楽しめました。また宿泊先の旅館では、「DEWA」というノンアルコールジンを飲む機会があったのですが、これが香り高く美味しかったです。まだ試作段階で市場には流通していないそうですが、今後一般にも販売された際には是非ご賞味いただきたいです。                                                         (2026年10月15日  文責:越田 洋介)