知って得する補助金活用

経営のための補助金活用と知っておくべきリーガルリスク

さて、今回は経営者の皆様に向けて、令和8年度の最新の補助金動向と、弁護士の視点から見た補助金を安全に活用するために知っておきたいリーガルリスクについて解説します。

近年、人手不足や物価高騰を乗り越えるため、国や自治体から様々な補助金が打ち出されています。特に今年は、従来のIT導入補助金を発展させた「デジタル化・AI導入補助金」や、人手不足解決の糸口となる「中小企業省力化投資補助金」が注目を集めています。さらに、弊所の地元・神奈川県でも「中小企業生産性向上促進事業費補助金」の公募が開始されるなど、経営の生産性向上を後押しする制度が様々あります。
しかし、「これだけ種類があるなら自社も何か申請しよう」と動く一方で、申請サポート業者とのトラブルや、意図しない「不正受給」の疑いをかけられるといった法的トラブルも増えています。
特に、経営者の皆様にこれだけは気を付けて頂きたいポイントは以下の点です。
• 「絶対に採択される」と謳い、虚偽の申請書を作成するような悪質な業者を利用しないこと
o 補助金の申請はあくまで事業主の責任です。万が一、虚偽記載が発覚した場合、ペナルティを科されるのは業者ではなく事業者自身となります。
• 「交付決定」の通知を受ける前に、対象となる設備の発注や契約を行わないこと
o 原則として、交付決定前に発生した経費は補助対象外となります。「せっかく申請が通ったのに1円も出なかった」という事態を防ぐため、手続きの順序は厳守が必要です。

補助金は、正しく活用すれば企業の未来を切り拓く強力な武器となります。万が一、申請業者との契約内容に不安がある場合や、受給後の手続きでトラブルが生じた際は、傷口が広がる前にまずは専門家へご相談いただければと存じます。

 

後書き

SOMPO美術館のモネが薫陶を受けたと言われるウジェーヌ・ブーダン展に行って参りました。彼は元々は家業である大きな船の入出港を船で先導する水先案内人(英語で「パイロット」)をしており、画家としてのスタートも22歳前後と異色の経歴です。ただやはり、空や海の描き方は秀逸で、どのような経験も無駄になることはないのだなと感じました。
私どもも企業の皆様の安全な航行を守る水先案内人となって業務をして参ります。       (2026年6月9日  文責:高橋 涼馬)