退職に関するトラブルについて(25)

今回は、退職する従業員から未払残業代を請求された場合の対応についてご説明します。

 

従業員が退職する際、それまで特に問題になっていなかった残業代について、突然請求を受けることがあります。特に、退職後に弁護士から通知書が届き、数百万円単位の請求を受けるというケースも珍しくありません。

会社としては、「残業を命じた覚えはない」「本人が勝手に残っていただけだ」と反論したくなるところですが、必ずしもそれだけで残業代の支払義務を免れるわけではありません。

 

残業代の支払義務は、会社が明示的に残業を命じた場合だけでなく、業務量や勤務状況などから、黙示的に残業を認めていたと評価される場合にも生じることがあります。
また、就業規則で残業を事前許可制としていた場合でも、実際には上司が残業を把握しながら放置していたような場合には、残業代の支払義務が認められる可能性があります。

 

このような請求を受けた場合、まずはタイムカードや勤怠記録、パソコンのログ、業務メールなどを確認し、実際の労働時間を把握することが重要です。従業員が提出した労働時間の記録をそのまま認める必要はありませんが、会社側にも客観的な資料がなければ、反論が難しくなります。
なお、残業代請求権の消滅時効は、現在、当分の間3年とされています。そのため、退職時に過去3年分の残業代をまとめて請求されることもあります。

 

こうしたトラブルを防ぐためには、日頃から労働時間を適切に管理し、不要な残業をさせないことはもちろん、残業の必要性や業務内容を上司が把握できる体制を整えておくことが重要です。

 

日々の雑感

気がつけば11月になり、今年も残すところあと2か月となりました。つい最近まで暑かったような気がしますが、朝晩はすっかり冷え込むようになり、クローゼットにしまっていた上着が活躍する季節になってきました。

                                                                                                                    (2026年11月4日 文責:下田 和宏)