セクハラ・パワハラに関するご質問

 

Q1 女性社員に対してスキンシップをしていて、特に嫌がる素振りもなかったのに、後になって、セクハラだと訴えられました。同意があっても、セクハラになるのですか。

A1

社長(上司)という優越的な地位を背景とした場合、相手がその行為を容認するような言動があったとしても、セクハラとして違法になる場合があります。

拒否されなかった以上、セクハラではない、という主張は、裁判では通らないと思ったほうが良いでしょう。

 

 

Q2 ミスを犯した部下を叱責することも、パワハラにあたり、許されないのでしょうか。

A2

そんなことはありません。

業務改善のための叱責は、一定程度は許容されています。本人がパワハラだと主張したからといって、直ちにパワハラになるものではありません。

叱責した理由、どんな言葉をかけたか、頻度など、諸般の事情を考慮して判断されます。

 

 

Q3 社員がパワハラでうつ病になった場合、労災として認定されるのですか。

A3

認定されます。業務上生じた傷病は、労災の対象になるところ、上司が業務指導の中でパワハラを行い、その結果としてうつ病になったのであれば、業務上生じた傷病といえるからです。

 

 

Q4 社員が「パワハラでうつ病になった」と主張してきました。この後、どのような展開になるのでしょうか。

A4

冷静な話し合いができれば良いのですが、そうでないと、やっかいなことになります。

まず、会社に労働組合がなくても、会社外部にある誰でも入れる組合(個人加盟ユニオン)というのがあって、 そこに社員が入って、そこから団体交渉を要求される可能性があります。団体交渉のプロである個人加盟ユニオンを素人が相手にするのは、 相当大変です。

また、社員が労働審判を起こしてくれば、短期間でその対応をせざるを得なくなりますし、弁護士に依頼すれば、 費用もかかります。

さらに、社員が労基署に労災保険の申立てをした場合、支給のための調査手続に会社が巻き込まれます。 これもかなり面倒です。

その上、労基署の調査手続の結果、業務に原因があるうつ病と認定されれば、裁判において、 会社が賠償責任を負う可能性が高くなります。

 

 

Q5 調査の結果、セクハラやパワハラの事実を確認できなかった場合は、どうすればよいですか。

A5

まず、被害を申告した社員に対し、調査結果をきちんと報告する必要があります。

それをしないと、「会社がきちんと調査せずに隠蔽した」と誤解されてしまいます。

また、事実を確認できなかったからと言って、セクハラやパワハラが無かったと断言することはできません。

今後は、申告した社員と、相手の社員の行動に目を光らせて、何かおかしな動きがあれば、すぐに察知できるようにしましょう。

 

 

Q6 セクハラやパワハラの申告を受けて、調査するときに、なにか注意しなければいけないポイントはありますか。

A6

当事者の話を鵜呑みにせず、メールや同僚の話など、客観的な情報を重視しましょう。

また、当事者から話を聞く際は、複数の人間で対応し、その都度報告書を作成しましょう(精神的に思いつめた当事者が、 後になって、こちらが言ってもいないことを主張してくる可能性があります)。

さらに、聞き取りを担当する者は、 直属の上司は避けましょう(どちらか一方に肩入れしてしまう可能性があります)。

 

 

Q7 会社として、セクハラやパワハラを行った社員に対し、どのように対処すれば良いですか。

A7

まず、会社の就業規則に従い、加害者に懲戒処分を下しましょう。

また、同様な事態が生じないように、加害者と被害者を引き離す配置転換をしましょう。

さらに、社内で注意喚起をするなど、 再発防止策を講じましょう。

 

 

Q8 セクハラやパワハラを行った社員自身は、被害に遭った社員に対し、どのような責任を負うのですか。

A8

セクハラは、言葉によるセクハラであれば、直ちに犯罪にはなりませんが、身体を触ったり、肉体関係を強要するようなことがあれば、迷惑行為防止条例違反、強制わいせつ罪、強姦罪などの、犯罪行為に該当します。

一方、民事上の、不法行為による損害賠償義務は、言葉によるセクハラであっても負うことになります。

したがって、被害にあった社員の対応次第では、民事上の損害賠償請求だけでなく、刑事上の告訴にまで至ることもありえます。