セクハラ・パワハラ

セクハラ社員を民事・刑事両面から追い詰めた事件

「先輩から無理やり抱きつかれてキスをされました。」

涙ながらに訴える女性アルバイトの話を聞いて、社長は激昂しました。
すぐに問題社員を呼び出して追求したところ、問答の末、ようやくセクハラの事実を認めたので、その場で懲戒解雇しました。

それから半年後、突如として問題社員が、でっち上げセクハラで不当解雇されたと主張して、労働審判を起こして来ました。

労働審判の対応を依頼された当方は、女性アルバイトにヒアリングしたところ、今回の労働審判に非常にお怒りでした。それもそのはず、懲戒解雇に納得して、ひとまずそれで済ませていたのに、セクハラをでっち上げだと言われたのですから。
そこで当方は、女性アルバイトの意志を十分に確認の上、セクハラ行為を警察に告訴しました。

労働審判の当初は、セクハラがでっち上げだと主張していた問題社員も、警察が告訴を受理して捜査を開始したことを知ると、一転して弱腰になりました。

労働審判では決着がつかず、訴訟に移行しましたが、訴訟の中で、会社側に有利な形で、和解をすることが出来ました。

 

依頼を受けてわずか1週間で、460万円の請求を10万円での和解に落とした事件

「労働審判の第1回期日まで、まもなく1週間を切るのですが、相談させてもらえませんか?」

労働審判の依頼を受けるのは、いつも差し迫った時期ですが、この件は、特に時間がありませんでした。
なんでも、最初相談していた弁護士と、途中から話が合わなくなり、急遽、別の弁護士を探さないといけなくなったとのことでした。早速事務所で打ち合わせを行い、正式に依頼を受けましたが、その時点で第1回期日は、1週間後に差し迫っていました。
その労働審判で、従業員の代理人弁護士の請求は、パワハラなどの損害賠償として、実に合計460万円。しかし、会社側としては、その従業員は問題行動を度々起こしており、あくまでも正当な業務指導を行なっただけ、という認識でした。
当方は、直ちに従業員の問題行動に関する詳細な資料を集めてもらい、それを元に10ページ以上の詳細な答弁書を書き上げ、第1回期日ギリギリに裁判所に提出しました。
第1回期日でも、当方は、会社側には何ら問題がなかった、不当な申立である、という強い態度を示したところ、こちらの主張に納得した審判官から、すぐにその場で双方に対して、低額の解決金で和解したらどうか、との話が出ました。
これに対して当方は、不当な申し立てである以上、払うとしても10万円だけ、と突っぱねたところ、従業員の代理人弁護士も、わずか10万円での和解を承諾しました。
結果、従業員の退職と、10万円の解決金で、その日の内に和解が成立しました。
依頼を受けてから、わずか1週間の出来事でした。

 

 

セクハラ・パワハラについて当事務所の考え方について

でっち上げセクハラで不当解雇されたと主張して、労働審判を起こして来ました

■典型的な弁護士の考え方

でっち上げかどうかに事実確認が困難な中ではどうしょうもありません。そもそも事実確認をした際に本人の念書などを貰っておくべきだったと思います。今となっては遅いので下手に主張などせずに早々に相手方との示談に持ち込んだ方が得策です。

 

■横浜パートナー法律事務所の考え方

女性アルバイトの意志を十分に確認の上、セクハラ行為を警察に告訴しました。 労働審判の当初は、セクハラがでっち上げだと主張していた問題社員も、警察が告訴を受理して捜査を開始したことを知ると、一転して弱腰になりました。 労働審判では決着がつかず、訴訟に移行しましたが、訴訟の中で、会社側に有利な形で、和解をすることが出来ました。

 

 

セクハラ・パワハラでいただくご質問

 

Q1 女性社員に対してスキンシップをしていて、特に嫌がる素振りもなかったのに、後になって、セクハラだと訴えられました。同意があっても、セクハラになるのですか。

A1

社長(上司)という優越的な地位を背景とした場合、相手がその行為を容認するような言動があったとしても、セクハラとして違法になる場合があります。
拒否されなかった以上、セクハラではない、という主張は、裁判では通らないと思ったほうが良いでしょう。

 

 

Q2 ミスを犯した部下を叱責することも、パワハラにあたり、許されないのでしょうか。

A2

そんなことはありません。
業務改善のための叱責は、一定程度は許容されています。本人がパワハラだと主張したからといって、直ちにパワハラになるものではありません。
叱責した理由、どんな言葉をかけたか、頻度など、諸般の事情を考慮して判断されます。

 

 

Q3 社員がパワハラでうつ病になった場合、労災として認定されるのですか。

A3

認定されます。業務上生じた傷病は、労災の対象になるところ、上司が業務指導の中でパワハラを行い、その結果としてうつ病になったのであれば、業務上生じた傷病といえるからです。

 

 

Q4 社員が「パワハラでうつ病になった」と主張してきました。この後、どのような展開になるのでしょうか。

A4

冷静な話し合いができれば良いのですが、そうでないと、やっかいなことになります。
まず、会社に労働組合がなくても、会社外部にある誰でも入れる組合(個人加盟ユニオン)というのがあって、 そこに社員が入って、そこから団体交渉を要求される可能性があります。団体交渉のプロである個人加盟ユニオンを素人が相手にするのは、 相当大変です。
また、社員が労働審判を起こしてくれば、短期間でその対応をせざるを得なくなりますし、弁護士に依頼すれば、 費用もかかります。
さらに、社員が労基署に労災保険の申立てをした場合、支給のための調査手続に会社が巻き込まれます。 これもかなり面倒です。
その上、労基署の調査手続の結果、業務に原因があるうつ病と認定されれば、裁判において、 会社が賠償責任を負う可能性が高くなります。

 

 

Q5 調査の結果、セクハラやパワハラの事実を確認できなかった場合は、どうすればよいですか。

A5

まず、被害を申告した社員に対し、調査結果をきちんと報告する必要があります。
それをしないと、「会社がきちんと調査せずに隠蔽した」と誤解されてしまいます。
また、事実を確認できなかったからと言って、セクハラやパワハラが無かったと断言することはできません。
今後は、申告した社員と、相手の社員の行動に目を光らせて、何かおかしな動きがあれば、すぐに察知できるようにしましょう。

 

 

Q6 セクハラやパワハラの申告を受けて、調査するときに、なにか注意しなければいけないポイントはありますか。

A6

当事者の話を鵜呑みにせず、メールや同僚の話など、客観的な情報を重視しましょう。
また、当事者から話を聞く際は、複数の人間で対応し、その都度報告書を作成しましょう(精神的に思いつめた当事者が、 後になって、こちらが言ってもいないことを主張してくる可能性があります)。
さらに、聞き取りを担当する者は、 直属の上司は避けましょう(どちらか一方に肩入れしてしまう可能性があります)。

 

 

Q7 会社として、セクハラやパワハラを行った社員に対し、どのように対処すれば良いですか。

A7

まず、会社の就業規則に従い、加害者に懲戒処分を下しましょう。
また、同様な事態が生じないように、加害者と被害者を引き離す配置転換をしましょう。
さらに、社内で注意喚起をするなど、 再発防止策を講じましょう。

 

 

Q8 セクハラやパワハラを行った社員自身は、被害に遭った社員に対し、どのような責任を負うのですか。

A8

セクハラは、言葉によるセクハラであれば、直ちに犯罪にはなりませんが、身体を触ったり、肉体関係を強要するようなことがあれば、迷惑行為防止条例違反、強制わいせつ罪、強姦罪などの、犯罪行為に該当します。
一方、民事上の、不法行為による損害賠償義務は、言葉によるセクハラであっても負うことになります。
したがって、被害にあった社員の対応次第では、民事上の損害賠償請求だけでなく、刑事上の告訴にまで至ることもありえます。