外資系企業

親会社の失敗により労働審判となったが、請求額の10分の1で解決した事例

労働審判は忘れたころにやってきます。この事件は、1年ほど前に「お詫び料」を支払って解決したと思っていました。しかし、1年経って、急に労働審判を起こされたのです。

 

この事件の発端となったのは、親会社が、子会社の承諾を得ないまま、勝手にある従業員の採用を決めてしまったことにありました。
子会社は、親会社の意向があるので、しぶしぶその従業員に来てもらったのですが、2日会社に来てもらったところで、その従業員が非常に高圧的、横柄で、会社になじまないことが分かったのです。

このとき、子会社は、その従業員とまだ正式に雇用契約を締結していなかったため、アルバイトのようなものとしてその従業員を雇っていると考えていました。そこで、子会社は、その従業員に対して、正式な雇用契約を結ばないということを通告しました。
しかし、親会社が勝手に採用すると言ってしまった手前、その「お詫び料」として、ある程度のお金を払ったのです。

 

それから1年経ったころ、その従業員から、雇用契約が続いていることの確認と、これまでの給料の未払額として2000万円を超える金額を支払えとの労働審判が起こされました。

労働審判で私たちは、親会社には子会社の採用を勝手に行えるような権限はないことや、その従業員がいかに会社になじまない者であったかを強く主張しました。

 

審判委員は、私たちの主張に納得し、請求額の約10分の1という低額での解決金での和解を提案してきました。

私たちは、仮に裁判になってもかなり高い確率で勝訴できるとは思っていましたが、争い続けるコストや、万が一敗訴するかもしれないリスクを考えると、その金額を承諾するのが妥当だとの結論に達しました。

こうして、請求額の約10分の1という低額での和解による解決となりました。

 

 

外資系企業について当事務所の考え方について

外資系企業の労働問題

■典型的な弁護士の考え方

日本の法律で判断されるのだから、外資系企業であっても何の違いもありません。

外国本社がそれを理解しないのは、会社側の問題です。当方ではそこまでは対応できません。

 

■横浜パートナー法律事務所の考え方

外資系企業の場合、異なる労働法の常識をもっている親会社に、日本の法律を説明するのが大変重要です。

本社への説明まで含めて、当事務所で対応させて頂きます。

 

 

外資系企業でいただくご質問

 

Q1 外資系企業の場合、労働審判を行う上で、特に気を付けることはありますか?

A1

労働審判という意味では、特に日本企業と違いません。

しかし、外資系企業の場合、日本の労働制度や労働審判について、本国の本社に説明する必要があります。労働法の内容は国によって違いますから、本社の納得をえるのは、それなりに難しいこととなるようです。

 

 

Q2 日本法人の責任者として、一定の能力を前提に、高額のサラリーで雇用しました。ところが、能力的に大きく問題があることが判明しました。そういう場合には、解雇したり、給与を減額できるのではないでしょうか?

A2

一定の能力を前提に雇用した場合には、客観的にその能力が認められない以上、一定の処分をすることはありえます。しかし、明確な基準が認められないと、このような扱いをするのはかなり難しいかもしれません。いずれにしても、予め専門家に相談する必要があります。

 

 

Q3 外資系企業の場合、給料も高額なのが通常です。従って、労働法についても、日本の法律は適用されず、アメリカのように自由な解雇が認められるのではないでしょうか?

A3

外資系企業といえども、日本で活動している以上、日本の法律に服することになります。

従って、解雇の規制なども、日本企業と同じように行われることになります。