残業代問題

「納得して残業してもらっていたはずの従業員から、突然未払い残業代を請求された」

「未払い残業代について、労働基準署から警告書が届いてしまった」

 

こんな問題を、多くの企業から聞いています。

未払い残業代の問題は典型的な労働問題の一つです。

残業代を支払っていなかった場合、使用者側が圧倒的に不利です。

これは、たとえ従業員との間で残業代不払いの合意がある場合でも同じです。

 

多くの企業が、

「うちは役職手当が残業代代わりだから大丈夫だ。」

「うちは年俸制だから、残業代は関係ない。」

 

などと考えています。

しかし、このような主張は、法律的にはなかなか認められません。

従業員に残業代を支払わずに、サービス残業させていることが発覚すると、労基署から是正につていの指導を受けることがあります。

 

これは、不満を持った従業員が、労基署に駆け込み訴えすることにより生じるのが一般です。

指導に従わない場合、労基署から勧告が出されます。

勧告も無視していると、最悪の場合刑事罰を受けることもあり得ます

 

労働基準署の指導を無視し、結果的に、企業が多額の賠償金支払いを命じられた企業も多数存在します。

更に、未払い残業代については、弁護士をとしての支払い要求が来たり、労働組合を通して団体交渉を申し込まれることもあります。

 

いずれの場合も、要求を無視して何もしないでおくと、かえって会社にとってのダメージが大きくなります

労働審判や、労働裁判にまで行くこともあり得ます。

未払い残業の問題は、まず事実関係を正確にとらえ、譲るべき点は譲り、会社として主張すべき点はしっかりと主張する必要があります

 

そのためには、専門家の手助けが必要不可欠です。

 

弁護士に依頼をすることで、未払い残業問題に対して、適切な対応が期待できるのです。

当事務所では、残業代の請求を起こされた後の対応はもちろんのこと、未払い残業代の問題を起こさないようにするために、就業規則の整備や職場環境の改善に関しても、、適切なアドバイスを提供しております。

これにより、未払い残業の問題を、未然に防ぐことが可能になるのです。

初回相談料は無料です。お気軽にご相談ください。

 

 

残業代請求の解決事例(一部)

業種:建設会社

売上規模:数億円

従業員:20名程度

 

【お悩み事項】

あまり定着せずに数年で辞めていった社員から、残業代請求がきました。勤務時間が長くなった分は賞与に反映していたし、あまり勤務態度も真面目ではなかったので、あまり支払いたくないです。また、今後、同じようなことが起らないように労務管理の態勢をしっかりと整えたいと思っています。

 

【解決方法】

まずは、労務管理のための書類をできる限り集めてもらって、弊所で、会社側にできる限り有利な金額を計算できるように検討しました。ただ、残業代請求の関係は、かなり会社側に不利な法制度になっていますので、それなりの支払額になってしまうことは多いです。残業代は2年で時効にかかることなど、できる限り会社側に有利な法制度も見落とさずに主張していくことが肝心です。

また、残業代請求は、請求されている事件を解決するだけではなく、今後も同様の事件が再発しないように労務管理体制を整えることが非常に大事です。一度、残業代請求が行われると、従業員の間で問題意識が共有されますし、たとえば、長年勤めていた責任者が会社と揉めて辞めるとその仲の良かった従業員も辞めると共に、複数人で残業代請求を行うといった事態も多々あります。

確かに、残業代請求がなされると会社の負担にはなりますが、今後の再発防止に真剣に取り組むためのいい機会になったと前向きに取り組んでいただき、社内の労務管理の制度を整えることが会社を良くすることにつながります。

 

【ポイント】

残業代請求事件の場合は、その残業代の支払額だけに目を奪われるのではなく、視野を広くもつ必要があります。現在の従業員との関係性や、今後の残業代請求等の労務トラブルを未然に防ぐためにも、将来のための労務管理の態勢を整えることも非常に重要な案件と言えるでしょう。残業代請求は、トラブルの元を絶たないと何度も生じうるトラブルだからです。そのためには、会社の労務管理状況をしっかりとヒアリングした上で、残業代請求に適切に対処した上で、今後の労務管理体制をしっかりと整備することが必要です。

 

残業代・賃金未払いでいただくご質問

 

Q1弊社は零細企業のため、正直に言って、残業時間や割増手当の額など、しっかりと管理していない部分があります。今のところ社員も特に問題にしていませんが、このままの状態でもよいものでしょうか。

A1

勤怠管理などは法律上、使用者に課せられた義務になります。もちろん、社員が何も言わなければ、事実上問題になりにくいのは事実です。ただし、一度、紛争になれば、労働組合の団体交渉や労働審判など、本業にまで支障をきたすことになります。最悪の場合、労働基準監督署の調査を経て、刑事手続にまで及ぶ可能性がありますので、これらは、使用者に課せられた最低限の義務として、しっかりと行わなければなりません。

 

 

Q2弊社の下請けである職人から残業代を請求されました。下請けに残業代を支払うというのは聞いたことがありませんが、このまま支払わなくても問題ないのでしょうか。

A2

契約上、請負や委託となっていたとしても、実質的に下請け先の職人が、労働基準法上の労働者に当たれば、残業代を支払う義務があります。労働基準法の労働者に当たるかどうかは、契約の名称が、請負や業務委託であるか、それとも雇用であるかと同じではありません。業務の時間や業務管理などを行えるか、必要経費をどちらが負担していたか、給与や報酬は定額か出来高かなど、様々な事情を総合的に検討して決まることになります。争いを未然に防ぐためにも、事前にしっかりと説明しておくことが重要でしょう。

 

 

Q3社員の一人が、命じてもいないにもかかわらず、残業したと主張して残業代を請求してきました。社員が勝手に行った残業についても、残業代を支払わなければならないのでしょうか。

A3

残業代に限らず、賃金は、会社の指示に従って仕事をすることの対価として支払われるものですから、命じてもいない残業に対して、残業代を支払う必要はありません。しかし、許可を得ずにしていた残業でも、それを知りながら何も言わなかった場合、暗黙の了解があったものとして、残業代の支払いが必要となる場合があります。不要な残業をしている社員には、勤怠管理の一環として、しっかりと帰社を命じましょう。

 

 

Q4「会社には世話になったので、残業代はいらない。」と言い、残業代を支払っていない社員がいます。例えば退職の時になって、この社員が急に残業代を請求してきた場合、残業代を支払う必要はあるのでしょうか。

A4

残業代に限らず、賃金全般について、社員の方からこれを放棄することは可能です。ただ、放棄が認められるには、それが本当に自分の自由な意思によって行ったことや、それを裏付けるだけの資料が必要です。本当に残業代を要らないのか確認した上で、第三者を立ち会わせて書面を作成するなどしておくとよいでしょう。なお、賃金は2年で時効にかかりますから、いずれにしても遡るには限界があります。

 

 

Q5弊社の一定以上の管理職は、自分の勤務時間をある程度コントロールできるのですが、そのような社員の残業代について、注意しなければならない点を教えてください。

A5

労働基準法上の管理監督者に当たれば、残業代を支払う必要はありません。ただし、「名ばかり店長」の問題が有名なように、「店長」や「支配人」といった名前だけで、直ちに管理監督者になるわけではありません。残業代を支払わないためには、管理監督者としてふさわしい職務の内容、業務時間の裁量、待遇などを与えるようにする必要があります。

 

 

Q6社員の一人が会社の商品を横流ししていました。懲戒解雇の上、退職金を支払わない予定ですが、何か注意することがあれば教えてください。

A6

退職金を不支給とするには、就業規則などで、どのような場合に不支給とするかを明確に定めておく必要があります。通常は、懲戒解雇の場合、退職金を支給しないといった条項が定められておりますが、そのような場合でも、直ちに退職金の全額を不支給とできるかは注意が必要です。退職金は、これまでの労に報いるといった性格がありますので、全額が不支給とするには、これまでの功績を全て帳消しにしてしまうほどのものといえるかが問題となります。今回の場合で言えば、懲戒解雇の理由となった横領行為が、金額や期間、態様などから考えて悪質であるかどうかを検討することになるでしょう。

 

 

Q7弊社では、就業規則などで明確に定めていないものの、これまでは退職金を支給してきました。ただ、昨今の業績悪化により、今年からは支給する余力がないのが実情です。弊社の場合、今後も退職金を支払わなければならないのでしょうか。

A7

退職金は、労働契約や就業規則等で定めない限り、必ず支払わなければならないものではありません。ただし、「これまで何年にも渡り、退職者には漏れなく一定額の退職金を支払ってきた」といった事情があれば、慣行として退職金の支払義務が認められる場合があります。その場合、これまで慣行として支払ってきた基準に従って支払わなければなりません。

 

 

Q8今年は非常に業績が悪かったため、賞与は不支給にしようと思っておりますが、注意しなければならないことはあるでしょうか。

A8

賞与を支払わなければならないかは、雇用契約や就業規則の内容によって変わります。もし、時期や支給額などが、完全な裁量で決められるようなものであれば、仮に不支給としても、基本的には問題ありません。一方で、例えば、「6月に基本給の2カ月分を支給」といった形で具体的に定めれている場合は、給料と同じように、必ず支払わなければなりません。