企業経営にまつわる刑事事件 第3回 痴漢

従業員が痴漢で捕まったら?

 

 第3回では、従業員が痴漢で捕まってしまった場合の対応をテーマに取り上げさせていただきます。

 従業員が逮捕されてしまった場合には、その従業員を雇っている企業としてはどうすれば良いのでしょうか。

 

 やはり、まずはすぐに弁護士に相談することが重要です。

 もっとも、実はここには「企業の顧問弁護士に、逮捕されてしまった従業員の弁護を依頼することはできるのか」という問題点が潜んでいます。

 

 企業としては、従業員を信じ「無罪」を主張したいですよね。その場合、まずはすぐに顧問弁護士に弁護を依頼して下さい!普段からよく知っている顧問弁護士であれば、相談もしやすいでしょうし、何よりスピーディに対応させていただけます。

 

 ところが、顧問弁護士は、従業員ご本人ではなく企業自体に雇われている弁護士ですので、企業の利益を優先して考えなければなりません。ですので、顧問弁護士が従業員の弁護等をした場合、最終的に「企業と従業員どちらの利益も考えなければならない」という事態に陥ってしまいます。

 

 例えば従業員が無罪ではない可能性が出てきた場合、極端な話「懲役刑」により刑務所に行ってしまうおそれもあるのです。そうすると、企業としても、その従業員を今後どう処遇するかについての判断をしなければならないことになります。つまり、企業と従業員の利害が対立することになってしまうのです。

 

 その場合、弁護士としては、企業の味方でありつつ従業員の味方でもあるという矛盾した立場に置かれてしまうことになります。これは「利益相反」と呼ばれ、法律により禁止されている行為となってしまう可能性も出てきます。

 

 もっとも、いずれにせよ……従業員が痴漢で捕まってしまったら、まずは弁護士が素早く会いに行って詳しい話をうかがうことが重要です。刑事事件はスピードとタイミングが命です。顧問先様のご依頼はもちろん最優先で対応させていただきますので、是非お気軽にご相談下さい!

 

弁護士の徒然草

 6月も間近になり、着実に暑くなってきました。クールビズの季節です。法曹三者のクールビズ模様はといいますと…。裁判所や検察庁は国の役所ですので、5月からは公的にクールビズが推奨され、ノージャケットノーネクタイが基本です。一方で弁護士は、各々服装がまちまちになります。シャツだけの方もいらっしゃれば、冬と同じようにジャケットもネクタイも着用している方もいます。

 夏でも一式フル着用の方を見ると、何とはなしに「粋だなぁ」などと思いつつ、私は暑がりですのでそろそろジャケットをかなぐり捨てようかと思います。(平成30年5月28日発行  文責:佐山洸二郎)