契約書の役割

私は、企業の法務部門で長いこと仕事をしていました。 そんな中で感じたのですが、企業の現場の人間と、通常の弁護士とでは、契約の役割についての基本的な認識が違うように思います。

企業の現場では、契約というのはまず第一に当事者間の約束です。 従いまして、内容がよっぽどひどい場合はともかく、なにはともあれ当事者がそれでやろうと決めた以上、その内容で良いではないかということになり易いと思います。

これに対して、弁護士にとっての契約とは、紛争が生じた後に、紛争を解決するための基準であるとの認識が大きい様に思われます。 そうしますと、とりあえず当事者が合意している内容であっても、それが裁判のときに認められないとなると、必ず修正しなくてはいけないという発想になり易いようです。

これに対して、企業の現場の考えでは、例え裁判所では認められない可能性が高いとしても、取り敢えず当事者の約束として書いておけば、 通常の場合はそれを守ってお互いに取引をするのだから、何も契約から削る必要はないだろうという発想になります。

どちらの考えもそれぞれ理由があるのですが、こういうところにも、企業法務と弁護士の違いがあるようで、なかなか面白く感じています。