第67号 税務調査の実際(2)

前回に引き続き「税務調査の実際」というテーマでお話しさせていただこうと思います。
今回は、税務調査の際、調査官はどのような視点で調査を行うのか、ということについてです。
税務署には、実は、代々伝わる「調査必携」という小冊子があります。調査で注意すべき格言が書かれているのですね。すごく古いものなのですが、基本的な調査の視点は今も昔も変わらないということで、若手のうちは折に触れて確認したりします。
その調査必携には、例えばこんなことが書いてあります。
「家族や使用人は案外正直に答えるものだ。」
「追及に余裕を与えるな。「明日まで待ってほしい。」は粉飾答弁の下心。」
この辺は質問の方法ですね。周辺から端緒を見つけ、見つけたら追い込めということです。
「完全犯罪はない。証拠や手掛かりは必ずあるものである。
取引先はマッチ、通帳、カレングー、集金人に電話早見表と運搬車。
電話早見表の汚れたところは大得意、綺麗なところは新規の得意。」
会社の中にある取引先の名前を見逃すな!というわけですね。その取引先が売上から除外されてないかチェックせよということです。
「妻が経営に干渉する事業には別途預金があることが多い。妻の旧姓は別途の名義になりやすい。」
このへんになると、もうなんというか、すさまじい経験則ですね・・・
こんな調子で、120個くらいの格言が書いてあります。調査官は、このような経験則を活かして調査しているのですね。

弁護士川島の一言

今は会社の情報はだいぶ電子化されたようですが、私が国税にいた当時は、全て紙ベースで保管・管理していました。大きい税務署だと、1年間に1万社を超える会社から申告書が提出されますが、これを全て職員が手作業でファイルに綴っていくわけです。配属になって最初の仕事が、申告書の入れ替え作業でした。フロア中に並べられた膨大な申告書ファイルを見て、えらいところに来てしまったなと思ったのを覚えています。(文責:川島)