第65号 人事異動を巡るトラブルを防ぐには(6)

人事異動に関してのシリーズをお送りしています。前号まで、5回に渡り、配転や出向について、ご説明してきましたが、今回でそれらを総括したいと思います。
まず、配転や出向は、就業規則で「命じることがある」などと定めておけば、基本的には問題ありません。配置換えや出向を頻繁に行う規模の会社であれば、基本的な就業規則はあるはずですから、この点はあまり問題にならないでしょう。また、個別の労働契約で、勤務地や職種などの限定がないかも確認しなければなりません。アナウンサーやレストランのシェフなどが、職種を争ったケースがありますが、そこまで特殊なケースではなくとも、「営業職として」といった記載は珍しくないはずです。
その上で、労使双方の具体的な事情に合わせて、権利濫用として無効になってしまうかどうかを考えていくわけですが、はっきり言って、労使間で紛争が起きた場合、実務上、使用者に不利な判断がなされるのは避けられません。労働関係法令が労働者を保護するものであるからです。実務上は、労基署や裁判所も、まずは、必ず使用者を説得しにかかります。昨今では、インターネットや書籍なども増えてきて、「ものを言う」従業員も増えてきましたから、会社にとっては非常に難しい時代になったといえます。
このようなときこそ、重要なのは、従業員とのコミュニケーションです。会社にとっても事情があるのと同様に、従業員にとっても、必ず事情がありますから、胸襟を開いてしっかりと話し合った方がよいでしょう。トラブルになるのは、急な辞令であることがほとんどですから、事前に色々な手段を検討し、調整することで、かなりのケースは紛争化を避けられます。労使双方にとってメリットがある人事異動のお手伝いができればと強く思っています。

新人弁護士のつぶやき

早いもので今年最後の「会社を守る法律相談」になりました。前の「ワンポイント」からリニューアル後、重ね重ねて65号。本年も皆様には大変お世話になり、感謝の言葉もございません。来年は、皆様にとっても弊所にとってもよりよい一年になりますようお祈り申し上げます。そういえば、特に気にせず「新人」を付け続けてきましたが、私も横浜にきて早4年。若手ではなっても新人ではない・・・、ということで、次号から本欄もリニューアル予定です!(笑)(文責:石﨑)