第62号 人事異動を巡るトラブルを防ぐには(5)

人事異動に関してのシリーズをお送りしています。前号は、出向について、概要を説明しました。出向は、就業規則や契約書で「出向を命じることがある」と定められていても、権利の濫用に当たる場合、無効とされてしまいますので、今回はこの点について掘り下げたいと思います。
では、どのような場合に権利の濫用とされてしまうのでしょうか。法律は、出向の必要性や人選に関する事情などを総合して判断するとしています(労働契約法14条)。判例なども合わせて考えると、実際には、「業務上の必要性」、「人選に関しての不当な動機や目的」、「対象となる従業員が受ける不利益」などを総合的に考慮して判断することになるでしょう。
この中で、最も問題となるのは、配転と同様に、出向による不利益です。この点、出向は、単なる配置転換ではなく、勤め先が変わるわけですから、配転よりも厳しく判断されています。とりわけ、最近増えているのは、育児や親族の介護などです。これについては、育児介護休業法でも、育児や介護の事情をもって不利益に取り扱ってはならないとされていることもあり、厳しく判断されているのが実情です。
これに対しては、その不利益に対して具体的な手当をすることが重要になります。例えば、時短勤務を認めたり、手当てや補助を増やすなどというのは、非常に効果的でしょう。さらに言えば、労働環境が大きく変わる場合は、命令を出す前に、事前に対象者と調整しておくのが無難です。その際には、従業員と対等の立場で、会社としての出向の必要性や不利益に対する手当を説明した上で、今後のキャリアプランなどまで踏み込んで話してもよいと思います。それでも納得が得られず、あまりに反発が大きい様子であれば、対象の変更を含めて、社内で再検討すべきでしょう。労働基準監督署や労働組合とのやり取りに発展すれば、会社としては大きな負担を抱えることになります。何事も、事前の調整は必要ということになりますね。

新人弁護士のつぶやき

この前、知人を訪れ名古屋に行ってきました。手羽先などの名物を食べたあと、知人に連れられ一件の喫茶店に。そこにあったのは大量の「クマ」でした。映画の「テッド」や、夕張市がマスコットとして作った「夕張メロン熊」など、大小様々なクマの人形が大量にあり、その名も「クマカフェ」。予想以上に楽しかったので、名古屋にお越しの際はぜひお立ち寄りください(笑)。(文責:石﨑)