第59号 人事異動を巡るトラブルを防ぐには(4)

人事異動に関してのシリーズをお送りしています。前号までは、異動のうち、「配転」について解説していました。今号からは、「出向」について解説したいと思います。
出向とは、「元の会社の従業員としての地位を維持しながら、他の会社の指揮命令下で働くこと」を指します。A社からB社に出向する、というのは、A社との雇用契約関係をそのままにしながら、実際にはB社で働く、ということですね。人事交流や、取引先との親密化を目的として、比較的大きな会社で行われていると思います。実際の出向には、2つの種類があると言われています。1つは、「在籍出向」で、上記のとおりの意味合いですが、もう1つは、「転籍出向」で、これは、元の企業の籍を抜いてしまって、完全に、他の会社との雇用関係だけになるというものです。このどちらかによって、出向が認められるための条件が異なります。
後者については、元の会社から籍を抜くわけですから、会社が勝手に行うことはできません。解雇と同じようなことを簡単にできてしまうからです。したがって、この場合は、その時々における、個々の従業員による個別の承諾が必要です。
一方、前者については、前回までに解説した配転と、ほぼ同じような条件をクリアすれば可能です。つまり、出向を命じることができるということと、具体的な出向命令が、権利の濫用に当たらないということです。
どのような場合に出向を命じることができるかですが、基本的には、就業規則等で「配転がある」ことを定めていて、出向先との間で、出向の際の勤務条件などが合理的に定められていれば、特に問題ありません。転籍出向と異なり、事前にしっかりとルールを設けておけば、個々の場合に同意を取る必要はないのです。問題になるのは、そのような条件が満たされていたとしても、権利の濫用に当たるか、という点ですが、この点は、具体例を挙げながら、次回、解説したいと思います。

新人弁護士のつぶやき

すっかり涼しくなりました。暑い盛りのまま薄着で寝ていたら、なんだか風邪気味です。しかも、来ている服は薄着なのに、身体の脂肪は厚手のまま。寒くなるにつれて、どんどん厚手になっていったらいやですね・・・。(文責:石﨑)