第50号 人事異動を巡るトラブルを防ぐには(1)

今号からは、人事異動に関してのシリーズをお送りします。適切な人事異動や配置転換は、言うまでもなく、従業員の能力や士気向上、会社の業務効率化に欠かせません。ただ、賃金等の労働環境に密接にかかわる問題ですので、大きなトラブルにつながることがあります。会社としては、人事異動についてしっかりと知っておく必要があるでしょう。
そもそも、人事異動とは何を指すのでしょうか。会社特有の人事交流制度などもありますかが、一般的には、昇進・昇格、降任・降格、配置転換(配転)、出向などがあるかと思います。この中で、最近トラブルが増えている配転と出向の2つについて考えていきましょう。
まず、配転とは、同じ会社の中で、職種や勤務場所等を変更することを指します。例えば、営業部から総務部への異動や、本店から支店への異動などですね。判例は、就業規則や個別の雇用契約で定めておけば、権利の濫用にならない限り、配転を命じられるとしていますが、逆に言えば、そもそも、就業規則や個別契約などで何も定めていないと、その時点で、会社は配転を命じられないと判断される可能性がありますので、リスク回避のためにも、この点は、必ず確認しておきましょう。
出向は、元々在籍していた会社との労働契約を維持、または終了させた上で、新たに別の会社との関係で労働契約を締結し、その指揮命令の下で就労することを指します。例えば、自社から関連会社に移り、その関連会社の方で働いてもらうというような場合ですね。一般的に、前者は、在籍出向、後者は、転籍出向と呼ばれ、元の会社との契約関係が残るかどうかが異なります。在籍出向については、ほぼ配転と同様の規制がなされていますので、まずは、就業規則や個別契約に、出向を命じられる旨の規定があるかどうか、最低限この点は確認しておきましょう。転籍出向については、基本的に全てのケースで個別の同意が必要とされています。
次回以降、これらについて、具体例を挙げながら、細かく解説していきたいと思います。

新人弁護士のつぶやき

以前の「ワンポイント法律情報」から、「企業にとって有益で必要な情報を分かりやすく」という観点で生まれ変わった、この「会社を守る法律相談」も、顧問先様に支えられ、はや50号を迎えました。次は100号を目指してまいりますので、今後ともよろしくお願いいたします!(文責:石﨑)