第32号 退職した従業員にも賞与は支払うの?

前号(26号)、前々号(23号)と、賞与についてお話ししてきました。今号では、賞与についてトラブルになりやすい「支給日在籍要件」についてまとめて、シリーズを終えたいと思います。
多くの会社では、就業規則上、いわゆる「査定期間」と「支給日在籍要件」というのを設け、「査定期間」の勤務成績を元に賞与を計算した上で、賞与の支給日に在籍している従業員にのみ、賞与を支払うこととしています。そもそもこのような規定自体は、判例上も認められていますので、支給日より前に退職した従業員に対して、会社は賞与を支払う義務はありません。問題となるのは、会社の都合で支給が遅れた場合や、支給日前に従業員が解雇された場合です。
まず、支給が遅れたことにより、支給日に従業員が退職してしまっていたという場合ですが、これは、従業員からすれば、会社の都合により、一方的に賞与を受給する権利を奪われてしまうことになりますから、会社は賞与を支払わなければなりません。
一方で、支給日前に従業員が解雇された場合ですが、「支給日在籍要件」は、支給日に会社に在籍している者に支給する、というものですから、退職でも解雇でも、支給日前に辞めてしまったとすれば、賞与を支払う必要はありません。ただし、会社が、賞与の支払いを免れることだけを目的として、支給日直前に解雇したといった場合には、解雇そのものが違法となったり、賞与の支払い義務が認められたりする可能性もあります。
したがって、前号でもお話ししましたように、賞与は固定とするのではなく、あくまで、余裕があれば支払うし、そうでなければ支払わないこともある、といった規定にしておくのがベストです。これからの時代、社員の士気を適切に保つためにも、賞与制度は工夫し柔軟に、という視点が重要でしょう。

新人弁護士のつぶやき

最近、同期や先輩の弁護士に誘われ、ゴルフを始めました。目標がないと頑張らないのではないかと思い、9月にコースを予約し、それまでレッスンにも通うことにしました。最初が肝心ということで、毎週真面目に行っているのですが、これが本当に難しい。最初は優しかったコーチも、最近は厳しくなり、「石崎さん、全然できてないよ!」と、久しぶりに人に「やれやれ」という顔をされました。先が思いやられます。(文責:石﨑)