第30号 瑕疵担保責任があっという間に消滅!?
売買契約や業務委託契約で、納品物に瑕疵があった場合、売主や受注者は、瑕疵担保責任を負います。具体的には、瑕疵の修繕や損害の賠償、契約の解除などが請求できます。
では、この瑕疵担保責任は、いつまで請求することができるのでしょうか。
法律の原則では、売買契約の場合は納入から6ヶ月、業務委託契約の場合は納入から1年間です。ところがこれは、契約書によって大幅に修正することが可能なのです!
実際、売主・受託者から示される契約書では、この瑕疵担保責任の期間が、「納入から1ヶ月間」や、酷いときには、「納入から10日間」とされていることがあります。
確かに、納入物が、単なる物品や、単純な構造の機械であれば、納入を受けた時点での検査によって、瑕疵に気づくことができるでしょう。しかし、複雑な機械やソフトウェアの場合は、ある程度使ってみないと、瑕疵が明らかになりません。また、自社がエンドユーザーではなく、商社に転売するような場合ですと、瑕疵が明らかになるのは(エンドユーザーが実際に使うのは)、かなり先になります。
そのため、契約書で瑕疵担保責任の期間が短く設定されてしまうと、いざ瑕疵が明らかになった時には、すでに瑕疵担保責任が消滅してしまっているのです。
自社が買主・委託者になる時は、契約書で瑕疵担保責任の期間が、法律の原則どおり、6ヶ月・1年間となっているかどうか、きちんと確認するようにしましょう。
弁護士藤井の一言
先日、日課の早朝ジョギングをしていると、ランニング専門雑誌の「ランナーズ」の方から声をかけられました。なんでも、今流行りの「通勤ランナー」の特集のために、取材をしているとのこと。
私の家は、事務所まで徒歩圏内で、通勤のために走っているわけではないのですが、番外編ということで、色々と取材を受けて、写真まで撮られました。これからは、ランナー弁護士を標榜します。
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