第24号 秘密が漏れても、損害が賠償されない!?

第18号、第21号に引き続いて、秘密保持契約を題材に取り上げたいと思います。
 秘密保持契約では、「秘密が漏れた場合の損害賠償義務」が規定されているので、仮に秘密が漏れても、相手への損害賠償で損害を回復できる、そう考えている人も多いと思います。
 しかし、これは誤解です。裁判で損害賠償を請求するためには、請求する側が、損害の金額を、具体的に立証する必要があります。「立証責任」といって、請求する側がその立証を義務付けられていて、十分な立証が出来ないと、裁判所に、損害賠償請求を認めてもらえないのです。
 これが、物が壊れた、という損害であれば、修理の見積りを出せばよいので、損害の金額の立証は簡単です。しかし、秘密が漏れたことによる損害の額を立証することは、非常に困難です。考えてみて下さい。秘密情報の価値を、どうやって金銭的に算定するのでしょうか。公認会計士が算定できますか。仮に相手が、秘密を不正に利用して、商品の品質を向上させたとして、それによる相手の売上増の何%が、秘密を利用した分の利益なのか、判断することができますでしょうか。
 秘密保持契約において、いくら損害賠償請求が規定されていても、それだけでは、絵に描いた餅で終わってしまうのです。
 というわけで、秘密が漏れた場合の損害回復までも考えるのであれば、秘密が漏れた場合の損害賠償を、秘密保持契約の中で事前に決めておく必要があります。
 賠償額は、例えば、取引価格と同額、とするとか、あるいは、○百万とするとか、区切りの良い数字にしておけば良いと思います。このように、賠償額を決めておけば、もしもの時は、「秘密が漏れたこと」さえ証明できれば、損害額を証明する必要なく、スムーズに損害賠償を請求して、損害を回復することができます。
 もちろん、相手によっては、なかなか賠償額の規定を入れることに応じてもらえないかもしれません。
 ただ、それならそれで、「本件で秘密を漏らされた場合の損害回復は困難だ」という前提のもと、開示する秘密を絞ったり、相手の秘密の取扱いに十分に注意するなど、対策を講じることができます。
そのため、賠償額の規定を入れるように交渉すること自体、意味があると思います。

弁護士藤井の一言

最近、どうも目がムズ痒い気がします。というかここ数年、春先になると、このような症状が現れます。
両親も兄も花粉症を発症していて、残るは私だけなので、今年こそはいよいよ花粉症発症か!とビクビクしています。(文責:藤井)