第5号 従業員の身だしなみ

質問

1. 従業員の一人が、あご髭を伸ばし始めました。髪も長く、肩にかかるくらいの長髪で、身だしなみを整えるよう注意しても、一向に従いません。
2. その従業員は営業職で採用しており、外回りも多いので、いつ取引先からクレームをつけられるかと心配しています。
3. 同業他社との競争も厳しい昨今、できるだけ不安材料はなくしたいと思っています。
4.どのような対応であれば、法律上問題なくできるのか教えてください。

回答

1. 服装や髪など、ちょっとした身だしなみであっても、そのままにしておけば、会社全体の士気の低下や、管理能力の弱体化を招く恐れがありますので、何らかの対応が必要なのは間違いありません。
2. まずは、口頭での説得や注意を繰り返し、自発的に改めることを促すべきですが、変なプライドや意地があるために、なかなか応じない場合も多いと思われます。
3. 任意で応じてもらえないのであれば、懲戒処分によって強制的に応じさえるほかありませんが、服装などは個人の思想信条の自由としての側面もあり、「気に入らない」「社風に合わない」からといって、常にできるわけではありません。
4. それでも、合理的な範囲内であれば、会社から業務命令を出すことができ、それに従わなければ、非違行為として懲戒の対象となります。これは裁判例も認めているところです。
5. あとは、一般的な懲戒処分同様、まずは戒告、次に減給、それでも改めなければ、出勤停止、解雇と順に手続を踏んでいくことになります。
6. では、どのような場合が合理的な範囲内なのかということになりますが、これは、会社の業種、当該従業員の職務や地位、具体的な身だしなみの内容、それによる業務への支障の程度などから、総合的に判断されます。
7. 実務的に考えれば、就業規則や採用時に、服装等の規定を明確に告げておき、これに従わない場合、会社としては断固とした措置を採るとはっきり説明しておくことが重要です。それによって、従業員が自発的に改めたり、改められないのであれば退職するといった方向に導くことができますから、紛争の予防になるでしょう。