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第9号 配置転換の強制力

質問

1. 昨今の売り上げ低迷を受け、弊社も経営合理化を迫られており、その一環として、従業員の配置転換を積極的に行っております。
2. 先日、一部の従業員に、関西の支店への転勤を命じたところ、家庭の事情で転勤できないと拒否する者がいました。
3. 今回は別の従業員に転勤してもらうことにしましたが、今後も同じようなことがあると、弊社としても非常に困ります。法律的には、どこまで強制的に命じられるのでしょうか。

回答

1. 勤務地や部署の配置転換は、従業員の生活に大きな影響を与えるため、従業員の同意がなければすることができません。
2. ただし、就業規則や労働協約に、「業務の都合により転勤を命じることがある」旨定められている場合は、事前に従業員の同意があるものとされます。
3. したがって、このような規定があれば、転勤のたびに、個別の同意は必要なく、配置転換を命じることができます。
4. しかし、このような規定があれば、常に転勤が有効になるかといえば、そうではありません。判例によれば、業務上の必要性、不当な動機・目的の有無、従業員に与える不利益などを総合して考え、配転命令権を濫用として無効になりえるとしています。
5. とはいえ、実際に配転命令権の濫用を理由に、配転が無効になった例は少なく、あからさまに組合活動の分断を目的としていたり、従業員の家庭環境などが極めて特殊である場合が多いでしょう。
6. 他方、勤務地や部署を明確に限定する合意が別途なされていた場合は、個別の同意が必要になります。これは、採用時の募集要項や面接で、「他工場への転勤はありません」と説明していた場合などもこれに当たりますから注意が必要です。配転命令が無効となるのは、こちらのケースが多いと思われます。
7. 以上を踏まえ、会社としては、紛争の事前予防のためにも、就業規則などの規定を定めることは当然として、それらに加え、社内では配転が一般的であることを示し、従業員に配転への疑問を持たせないことが必要でしょう。
 

 

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企業の常識・弁護士の非常識

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「企業の常識・弁護士の非常識」と題して、月2回発行している
ニュースレターのバックナンバーを掲載しています。
 
企業の法務部門での15年に及ぶ勤務経験から、企業の常識と弁護士の
常識には、かなり大きいギャップがあるのではと感じています。
企業の常識を持った弁護士として、多くの会社のお役に立てればと考えております。

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